パネルディスカッション 電力・ガス自由化がもたらす未来とスマート社会

2016年11月15日

<パネリスト>
佐藤 美智夫 氏(東京電力エナジーパートナー 常務取締役)
小川 要 氏(経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力市場整備室長)
高木 喜久雄 氏(東芝 エネルギーシステムソリューション社 技師長)
笹山 晋一 氏(東京ガス 執行役員 総合企画部長)

<コーディネーター>
橘川 武郎 氏(東京理科大学大学院 イノベーション研究科 教授)


「顧客に伝わる」磨く

橘川 3つの大きなテーマで議論したい。まず「自由化の成果」をどう深めていくのか。

小川 自由化で料金が下がるかというと、海外では上がった事例もある。料金は燃料価格に左右される面が大きいためだ。固定価格など新しいサービスが出てくるといった、本当の意味のチャレンジはこれからだ。

佐藤 競争する側としては、バリューチェーン全体のサービスの品質を良くして社会に受け入れられることが一番大事だと感じる。そうした努力をすることが、生き残る道だ。

笹山 料金競争だけでなく、サービスも含めたトータルなメリットを顧客に提供していきたい。また、メリットを社会に伝え、認知度を高めていく必要がある。

高木 託送など川上の新技術を評価する指数はあまりはっきりしていないのが現状だ。周波数制御の蓄電池などでは、使い方も含めたコストなどは見えにくい。新技術を将来の市場にどう生かすかの発想も必要だ。

橘川 事業所や家庭など需要家は様子見をしているとの声もある。

笹山 アンケートによると、興味はあるものの「様子見」という人が多い。実際に切り替えた人の声が重要になる。

佐藤 電気はコモディティー商品なので、差別化しづらい。顧客にどれだけ分かりやすく伝えられたかは、今回の反省材料といえる。

小川 4月以降、電気の切り替えのペースが落ちていない。半年後のガスの自由化でも同じ傾向が続くか注目している。

高木 電気とガスを取り巻く取引システムなどは分けて考えるのでなく、共有化できればインフラ投資の総コストを下げられるのではないか。

サービスで市場拡大

橘川 2点目は「各社の競争戦略」だ。総合エネルギー企業を目指すことをどう考えるか。

高木 東芝も選択と集中へと変わってきている。ただ総合企業の魅力は将来に幅広く投資し、色々な可能性を持てるという点がある。

小川 欧州では自由化で、企業の投資の重点が再エネやネットワークなど、規制の残る部分にシフトしてきた。日本でも、事業者にとって投資の時間軸を意識する必要がある。

佐藤 我々もガスと電力を提供するだけでなく、使い方も含めたソフト提供も取り組まなければいけない。効能を説明し、納得してもらうために、智恵の出し合いになると思う。

笹山 総合化のポイントは、顧客に受容してもらえるサービスを含んでいるか、自社の強みがあるかどうか、である。東京ガスは多数のサービスショップがある強みを生かし、これまでのメニューと親和性のあるサービスを展開していく。

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