【基調講演】橘川 武郎 氏 電力・ガス自由化をめぐる諸論点

2016年11月15日

東京理科大学大学院
イノベーション研究科教授
橘川 武郎 氏

 電力と都市ガスのシステム改革が進行しているが、電力には卸市場があり、ガスにはない状況では限界があるのではないかとの懸念がある。しかし、だからこそ小売り全面自由化というのは非常に意味があり、社会的にもプラスになると考える。

 参入企業は、将来と企業生命を懸けて、どうアライアンスを組んで誰と戦うか、激しい競争上の選択をしている。

 日本のエネルギーの問題は原子力の使用についてだけではない。太陽光エネルギーや風力エネルギーなどでは、主観だけで判断する人も多いが、エネルギー・資源小国の日本にとってすべての資源が大切で、どう組み合わせるかを考えるべきだ。共通の利害がある他国と組み、まとめ買いするというような柔軟な考え方も必要だろう。

 電力・ガス自由化をめぐって、消費者が一番重視するのは料金なので、エネルギー企業はまず料金を考えることが大切となる。電力の離脱率が3%しか進んでいないことや、卸売市場がない都市ガスは資源をどのように確保していくのか、電力はどう拡充していくのかなど、まだまだ課題が山積みだ。

 ただ、現時点ではマクロでみた影響が小さくても、ミクロ的には各社の競争戦略に非常に大きな影響を与えており、各社は決断を迫られている。総合エネルギー企業各社は自由化の成果をどう深めるか、スマート社会をどう作っていくかなどの論点を詰めて考えていく必要があるだろう。

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