【基調講演】柏木 孝夫 氏 水素エネルギーで実現する脱炭素社会

2016年8月8日

東京工業大学
特命教授・名誉教授
柏木 孝夫 氏

 パリ協定では脱炭素という難しい課題が突きつけられた。まだまだ化石燃料を使わざるを得ない中、二酸化炭素(CO2)をどう削っていくか。その鍵となるのが水素社会の実現だと考える。

 経産省が4月に発表した「エネルギー革新戦略」では、昨年策定したエネルギーミックスを実現するポイントとして「徹底した省エネ」「再エネの拡大」「新たなエネルギーシステムの構築」を挙げている。出力が不安定な再エネを最大限導入するには、蓄電池あるいは水素に変換して貯蔵する仕組みが欠かせない。

 新たなエネルギーシステムの柱とされるのは、大規模集中型一辺倒の電源構成から、燃料電池やコージェネといった分散型電源へのシフトと、再エネ・省エネ融合型エネルギーシステムの立ち上げだ。ネガワット市場の創設などによってデマンドをコントロールする時代になったといえる。

 それに加え、今回は地産地消型エネルギーシステムの構築もうたわれている。ゴミ焼却場と市庁舎、メガソーラーなどの間に、熱導管や電線・光ファイバーを統合したインフラを整備して熱と電力を融通し、余剰電力で水素を作って貯蔵するといった自治体主導のシステムである。

 脱炭素社会を目指すためには、水素の製造、貯蔵、利用技術が重要になってくるのは間違いない。「水素・燃料電池戦略協議会」では再エネを使ったCO2フリー水素の利活用に関するワーキンググループを設置した。その一方で、化石燃料から水素を作る際に発生するCO2の固定化および有効利用も大きな課題だ。CO2を使ったプラスチックの生産や人工光合成等の技術開発が急がれる。

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