【企業講演】前川 治 氏 再生可能エネルギーで目指す水素社会

2016年8月8日

東芝 執行役専務
前川 治 氏

 水と再生可能エネルギー(再エネ)だけでCO2フリーのエネルギー供給ができる再エネ水素が注目を浴びている。再エネ水素は再エネの弱点である不安定部分を水素で補うことで安定電源を確保でき、電力の大容量・長期間貯蔵が可能といった特徴がある。

 再エネでつくった電力の安定分は直接電気として使用し、突然の降雨など短時間の急な変化に対してはバッテリーを使う。より時間軸の長い不安定分を水電解で水素に変えて貯蔵し、必要時に燃料電池で安定的に発電する。電力を平準化して再エネを活用するのが有効だと考えている。

 東芝では再エネと水素を活用して電力を安定供給できる、自立型水素エネルギー供給システムH2Oneを開発した。水電解による水素製造、蓄電池と組み合わせた水素電力貯蔵、純水素型の燃料電池で構成され、可搬性が特徴だ。変動する再エネを最大限活用するのが開発の狙いだった。

 すでに実証も始めており、昨年は川崎市の川崎マリエンに水素タンク2基を持つシステムを設置。災害時に電源・熱供給を行う「もしも使い重視」のモデルで、300人1週間分の電力と湯を提供できる。常時利用の「いつも使い重視」モデルでは、ハウステンボスの「変なホテル」12室の全電力を外部電源からの給電なしに同システムで供給する実証実験も始めた。

 東芝は、高効率水電解技術による水素製造装置や、大容量水素貯蔵システムH2Omega、大型の純水素型の燃料電池など各分野で技術を開発している。また「漏らさない、検知、溜めない」をキーワードに、水素の安全にも取り組んでいる。クリーンな水素社会の実現に向け、水素の地産地消や水素サプライチェーンの展開を考えている。

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