【企業講演】宮崎 淳 氏 水素社会実現に向けてのインフラ整備

2016年8月8日

岩谷産業 常務執行役員
中央研究所長 兼
水素エネルギー部長
宮崎 淳 氏

 当社の水素事業は1941年に、余剰に生産されていた水素ガスの販売を始めてスタートした。58年には水素製造工場を設立し、本格的に製造・販売を開始した。78年に商用の液化水素製造プラントが完成し、宇宙ロケットに液化水素の供給を始め、2006年には大阪府堺市に国内最大の液化水素製造プラントを稼働した。

 液化水素の最大のメリットは、大量に貯蔵・輸送・供給できること。超高純度、極低温という特徴もある。水素は無尽蔵・クリーンなエネルギーで、海外に依存せずにつくれるため国費が海外に流失し ない利点もある。現在は燃料電池自動車やエネファームでの水素利用が本格化している。将来はフォークリフト、発電、航空機など多岐な用途での可能性があるだろう。

 当社の液化水素の製造拠点は千葉県市原市、堺市、山口県周南市の3カ所、圧縮水素の製造拠点は9カ所。水素ステーションは現在20カ所。14年7月に兵庫県尼崎市で国内第1号の商用水素ステーションを開所し、昨年4月には東京・芝公園、今年は関西国際空港、東京都大田区池上など全国で整備を進めている。安全対策では、水素を漏らさない、漏れたらすぐ検知して遮断することを基本とし、水素ステーションには万一に備えて防火塀を設置している。

 コスト低減に向けて、液化水素の極低温の特徴を生かし、液化水素ポンプによる加圧方式と、冷凍機を使わずに水素を冷却するシステムを検討している。このほか、燃料電池フォークリフトの実用化に向けて関係企業・自治体等と連携して実証実験に取り組み、関西国際空港で3台の実証運用をしている。水素社会実現に向けて、インフラ整備と水素の普及啓発活動に力を注いでいく。

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