【企業講演】原田 英一 氏 CO2フリー水素サプライチェーン構想実現への取り組み

2016年8月8日

川崎重工業 執行役員
技術開発本部 副本部長
原田 英一 氏

 世界のエネルギーを取り巻く状況は大きく変化し、二酸化炭素(CO2)フリー社会へ向けた水素の技術開発が注目を浴びている。6月に公開された経済産業省の「次世代火力発電技術の早期確立、実用化に向けた工程表」でも水素発電が次世代火力として大きく組み込まれている。川崎重工では水素需要の拡大を見通し、2020年を節目に水素発電、水素大量導入に向けた技術開発に取り組んでいる。

 水素の製造方法で注目しているのが若い石炭といわれる褐炭だ。水分量が多く輸送効率が悪いため現地の発電にしか利用されていないのが現状。我々はオーストラリアのラトロブバレーに大量に眠る褐炭を液化水素にして運搬する方法を開発中だ。CO2を生産地に残す計画だが、雇用創出やクリーンな水素を輸出する国になるといったメリットがあり、オーストラリア側からも強く支持されている。

 水素インフラの技術展開としては、プラント・タービン技術を使って水素を液化し、世界初の液化水素運搬船で運ぶ。利用時には水素ガスタービン発電を行う構想だ。安全に関する技術開発も重要になる。「漏らさない、検知したらすぐに止める、溜めない、着火させない」をコンセプトに安全設計、実験などを実施している。

 2月には「CO2フリー水素サプライチェーン推進機構」を協力企業と立ち上げた。風力・太陽光といった気候に左右されがちな再生可能エネルギーの変動分を、CO2フリー水素で吸収するプロジェクトも進んでいる。この構想には、供給安定性、環境性、産業競争力向上という意義と効用がある。CO2フリーな水素を浸透させることで、日本の成長産業やインフラ輸出への展開が可能だと考えている。

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