パネルディスカッション 産学官連携のイノベーションで実現する持続可能なスマート社会

2015年12月18日

<パネリスト>
田辺 新一 氏(早稲田大学 建築学科 教授)
嶋村 和行 氏(大成建設 エグゼクティブ・フェロー 環境本部 副本部長)
塩 将一 氏(積水化学工業 住宅カンパニー商品企画部 技術渉外グループ長)
矢野 孝 氏(住友電気工業 インフラ事業推進部 次長)
塚本 博之 氏(明電舎 電力・社会システム事業部 副事業部長 兼 システム事業企画部長)

<コーディネーター>
林 泰弘 氏(早稲田大学 理工学術院教授 スマート社会技術融合研究機構 機構長)


大学が調整や仕組みづくりの場に

 スマート社会実現に向けた取り組みを聞きたい。

嶋村 ZEB技術はスマート社会と関連する。再生可能エネルギーの余剰をコミュニティー内で融通することが重要である。

 スマートハウスの販売を推進し続けている。

塚本 コージェネレーション、太陽光、蓄電、ネガワットなど分散型電源の最適制御を追求したい。

矢野 エネルギー、モビリティー、コミュニケーションのソリューション群を高度に融合して課題を解決したい。

 産学官連携のイノベーションの中で大学側に望むこと、また大学側が感じる意義、哲学を聞きたい。

嶋村 ハーフエネルギービルの計画で導入した太陽光採光システムは、早稲田大学田辺教授監修の下、技術開発した。ACROSSでの異業種連携に期待している。

 スマートタウン普及には他社住宅との結びつきや関係者との調整が必要。大学が調整、仕組みづくりの場になることを望んでいる。

塚本 大学には砂漠のオアシスのような「水飲み場効果」を期待している。

矢野 産学官連携のメリットは人とアイデアの交流。大学をプラットフォームとし、上流部分での方向感を共有できることが望ましい。

田辺 新技術導入には実験が必要だ。失敗こそが経験になり、その後の検証も大事。有名ビルでも1年目からエネルギーが最適化され環境も良い建物は限られている。

節電でなく電気の融通で解決

 環境等の課題に対し、イノベーションをどう起こすかを聞きたい。

嶋村 建物のエネルギー面では目的が明確になれば進んでいける。

 2020年夏には東京に人が集中し電気不足が起こると危惧している。蓄電池からの昼間の放電は規制があるが状況により緩和が検討されるべきだ。節電ではなく電気を融通し合うプラス思考で解決すべきと考える。

塚本 EMSは、今はなくても困らないが、PC、携帯電話も最初はなくても困らなかった。イノベーションとは今は不要の物が絶対必要になること。マーケティング結果の根底に潜む、社会が欲するものを見つけ出し探求すべきである。

矢野 イノベーション実現には制度が障壁となる。米国のように先に制度を作るのも社会イノベーションだが、社会の受容性も重要。

 電気自動車から逆潮流するEVパワーコンディショナーを新築住宅とセット販売した。電気自動車を所有していないオーナーも将来の準備になる。

田辺 ニッチなものを上司等が引き上げないとイノベーションは実現できない。

嶋村 次世代人検知センサーは、夜に多くのビルの照明がついているのを何とかしたいという一社員のこだわりから始まった。

ZEBのローコスト化めざす

 これからの展望、狙いについても聞きたい。

嶋村 既存の建物の低炭素化は課題。ZEBに関してはローコスト化を目指し開発していく。

 エネルギーを買わない自給自足型住宅を建てること。

塚本 経済性判断を組み込み、持続可能モデルをつくりたい。

矢野 ネガワットに適切なインセンティブを付与し制度化。広域融通し合える柔軟な社会システムが理想である。

田辺 ゼロ・エナジー・ハウスは離陸した。ゼロ・エナジー・ビルはコスト的課題があるが普及させたい。

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