【基調講演】田辺 新一 氏 住宅・建築のゼロ・エネルギー化への道筋

2015年12月18日

早稲田大学 建築学科教授
田辺 新一 氏

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次評価報告書によると、2010年に建築物は世界のエネルギーの32%を消費している。このままでは50年までに2~3倍のエネルギー消費量になると予想され、膠着状態になる前に住宅のグリーン化などの迅速な対応が必要だ。14年に閣議決定されたエネルギー基本計画では20年までの段階的な新築住宅・建築物の省エネルギー基準適合を義務化した。また同年までに新築公共建築物等で、30年までに新築建築物の平均でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現することを目指す。

 その一方で、暑すぎたりしてオフィスでの知的生産性を低下させないように快適に過ごす環境を整備することも大切だ。室内環境と知的生産性には大きな関連があり、我々のグループがコールセンターでの電話応答回数を調べたところ、室温がセ氏約1度上がると約2%生産性が低下していた。

 日本のZEBの定義は快適な室内環境の担保と超省エネルギー化を行うこと。そして省エネと創エネの両立だ。ビルにおいては、50%以上省エネを達成した上でエネルギーを創り、ゼロエネルギーを目指すものをZEB Ready、正味で75%以上の達成をNearly ZEB、100%以上をZEBとする。

 本学ではゼロエネルギー化の一環としてエネマネハウスや、電力と情報を双方向にやり取りできるスマートグリッドの活用を積極的に提案している。ITを使えば、高い生産性を確保しながら効率良く発電を管理することも可能だ。今後も技術開発を通じてハード・ソフト両面からゼロエネルギー化を進めていきたい。

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