【基調講演】橘川 武郎 氏 電力・ガスシステム改革とスマートコミュニティ

2015年11月30日

東京理科大学大学院
イノベーション研究科教授
橘川 武郎 氏

 本日のテーマは電力の自由化だが、2017年にはガスの小売りが全面自由化され、20年の発送電分離の2年後にはガスの導管分離が行われる。電力とガスのシステム改革が連動して進行しているという全体像を見ながら電力自由化を考えていくべきだろう。

 異業種からの新規参入が相次ぐ中、10社ある電力会社間の地域を越えた競争も始まっている。一方、ガス会社には他業種とは違う強みがある。玄関で靴を脱いで家の中に入れるのは、ガス器具の保安サービスだけだ。そのためガス会社が絡んだアライアンスは差別化を生む可能性がある。

 自由化で競争が進めば、短期的に電気料金は下がる。ただし、発送電分離で発電投資が抑制されると、長期的には徐々に上昇する。発送電分離の制度設計は慎重に進めるべきだ。

 政府が7月に決定した新しい電源ミックスで特筆すべきはコージェネだ。30年に全体の11?12%というのは、現在の倍に相当する大きな数字である。

 スマートコミュニティの実証実験で断トツの成果を上げた北九州の東田地区では、コージェネを基幹電力としていた。それが可能だったのは、配電線を九州電力から買い戻し、独立運転ができたからだ。

 釜石市では東日本大震災のときもウインドファームは稼働していたが、東北電力の系統が倒れたため停電してしまった。配電線の独立運転、それと林業組合や漁業組合、地域のガス会社など、中心となるコミュニティの担い手の有無がスマートコミュニティ構築の要諦だと考える。

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