【基調講演】野口 功一 氏 ネクストステップをむかえた自由化への備え

2015年11月30日

プライスウォーターハウスクーパース
電力・ガスシステム改革支援室 副室長
野口 功一 氏

 来年4月の電力の小売り全面自由化を前に、当社では3年連続で電力小売り意識調査を実施してきた。

 一般家庭の95%以上は電力会社の切り替えに関心を示しているが、その決め手となるのは、やはり価格だ。料金が5%安くなれば10%の層が切り替え、10%低減なら30?40%が電力会社を変更する。価格が安くなることを前提に、長期契約での割引や電力・ガス一括支払い等のメニューを受け入れる意向も高い。

 価格以外の関心事として差別化要因となり得るのは、料金プランや手続きのシンプルさ、ブランドや口コミ評価による安心感などだ。ドイツでは、高齢者向けに紙の請求書の文字を大きくして契約率が高まった例もある。また、まだ数は少ないものの、非原発、クリーンエネルギーといった電源の調達元を重視し、料金が多少高くても利用したいという人も一定数いる。

 顧客にはスティッキネス(粘着度)が低いタイプと高いタイプがある。前者は簡単に乗り換えるが、すぐに離脱するリスクが高い。逆に後者は乗り換えが難しく獲得コストはかかるが、安定的に収益化できる。

 電力自由化の波の中では、このスティッキネスに注目してセグメンテーションを細かく分析し、幅広い観点からアプローチしていく必要がある。そのためには自社の強みを洗い直すとともに、外部の企業とアライアンスを組み、互恵関係を構築・強化することが一層重要となる。

 自由化で家庭用電力がどこまで流動化するかは未知数だが、大きなチャンスであることは間違いない。

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