【基調講演】柏木 孝夫 氏 電力自由化が実現する新産業創造

2015年11月30日

東京工業大学
特命教授・名誉教授
柏木 孝夫 氏

 電力の小売り全面自由化は、新たなビジネス創出の引き金になる。各分野で必要な改革が進むだろう。

 まず需要側のデジタル改革だ。東京電力などが次世代電力計(スマートメーター)の設置を急いでいる。エネルギーとICT(情報通信技術)が一体化すれば、需要側で電力の使用を最適化するデマンドレスポンスが可能になる。地域内でエネルギーを効率的に利用するスマートコミュニティーの実現には欠かせない。

 スマートコミュニティーの形成にはインフラ改革も求められる。例えば、空きが生じた洞道(とうどう)に熱導管を敷設。自治体が持つごみ焼却炉の余熱を病院や市庁舎、民間ビルなどで使う。熱導管に加え通信線と電線も併せて敷設し、統合型のエネルギーインフラとして整備するのがポイントだ。自治体が自営線を持てば長期にわたり託送料を得ることができ、赤字事業の補填に充てることも可能だろう。

 こうした基盤整備を公共事業として実施することで民間投資も活発化する。コージェネレーション(熱電併給)など多様なローカルエネルギーを取り込む新ビジネスや、電力のビッグデータ解析による見守りサービスなども生まれていく。自治体主導で地域エネルギーシステムの構築を進めることが、街全体のエネルギー利用の効率化と地方創生につながる。

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