ディスカッション 公民連携で実現するSDGs未来都市

2018年3月19日

SDGsを新しい社会契約の機会に

村上 人口減少時代に日本が経済水準を維持するには働く人の確保、とくに女性と高齢者の活用が不可欠だ。女性と高齢者のエンパワーメントという論点で各取り組みの苦労と他自治体への移植について聞きたい。

田中 川上村では変化への抵抗感も強い中でプロジェクトを始めた。周りの目や噂が気になり意欲のある女性でも挫折しそうになったこともある。彼女たちの説得、精神的ケアには気を配った。川上村では課題を綿密に把握するプロセスを踏み、コミュニケーションのプロも呼んで、言葉、ビジュアルの開発を行った。課題は各地域で違うが、ビジョンステートメントに落とし込むプロセス、枠組みは他の自治体でも応用できる。

村上 SDGsの各国の進展状況をみると日本はジェンダー平等が遅れている。

田中 ジェンダー平等を目的にすれば女性の自己実現が成果にできるだろう。

村上 SDGsは女性と高齢者の新たな枠組みでの生活、新しい社会契約をつくるいい機会になる。

佐藤 大企業は地域貢献や課題に向きにくいが、SDGsに対し会社がトップメッセージとして推進してくれると力になる。自治体は変わりつつある。東北は課題先進地だが課題解決先進地を目指す意識が高い。「農ライフ」を機に高齢男性がコミュニティーに溶け込むきっかけになればいい。

村上  「農ライフ」は都市以外でも可能だと思うか。

佐藤 引退した農家や猟師など、プロが都市の子供に教えることもできる。

村上 女性と高齢者で活躍を阻む要因は違うのか。

田中 女性に限らず新しいことに抵抗があった。地域差があるだろう。

佐藤 高齢化問題は男性問題と感じる。男性をコミュニティーにどう引きずり込むかに腐心した。遊びプラス稼げる場の提供も必要。

公民の水平的連携で自律・分散・協調を

村上 稼いで社会貢献など生きがいを感じられる場の提供は大事だ。公民連携の推進についてはどうか。

田中 公民連携を受発注の垂直型から対等な水平型に変えるのは困難が伴う。川上村では垂直型だったが、意思決定に必ず民側も参画させてもらった。自治体の変化も大事だが、民の強いメンタル、諦めない力が必要と感じる。

村上 SDGsは地方だけでは難しいテーマもあり都市型企業と組むのは重要だ。グローバル企業の立場からどう思うか。

佐藤 地方の課題に取り組むきっかけは東日本大震災の復興支援だった。企業として国に提案した経験が社内に蓄積された。受発注の関係だけではない官民連携の形ができつつある。

田中 水平型は横並びのため自由度が高い。他社が参画しやすい利点もある。

村上 水平的連携による自律・分散・協調が進むのが望ましい。経済、社会、環境の統合的取り組みとシナジー効果についてはどうか。

田中 国が地方へ自立を促すのであれば、自治体に任せる、信じる勇気を持ってほしい。

村上 自治体の経済的自立なしには将来は描けない。

佐藤 地方自治体には優秀な人材が多いため、本気で考えれば新しいビジネスが生まれると期待している。公民が本音で話せる環境づくりも必要になるだろう。

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