パネルディスカッション SDGsビジネスの進め方―オープンイノベーション・プラットフォームの活用―

2017年12月25日

<パネリスト>
近藤 哲生 氏(国連開発計画(UNDP)駐日代表)


西口 尚宏 氏(Japan Innovation Network 専務理事)


<ファシリテーター>
谷本 有香 氏(ジャーナリスト/元日経CNBCキャスター)


日本の役割に大きな期待

谷本(ファシリテーター) 国連機関が民間セクターと組んでSHIPを立ち上げ、SDGs達成に向けて進めてきた背景は。

近藤 国連には「平和」「人権」「開発」という3つのミッションがある。UNDPは人間の可能性を引き出す「人間開発」が目的だ。国連加盟国のうちの多くが開発途上国。その全てにUNDPの代表が駐在し政府首脳の相談役として開発を手伝っている。世界保健機関(WHO)など国連機関との調整を担い、政府機関や企業、市民と協力し、国の将来設計を支援している。

 2000年には、ミレニアム開発目標(MDGs)で8つの目標を掲げて取り組んできた。MDGsからSDGsに変わったことで、地球上全ての人に豊かな暮らしを実現する目標となった。

 責任投資原則を考えると財務情報と非財務情報、ポジティブ評価とネガティブ評価、原則と規制によって実施されなければいけない。CSRのみならず、共有価値創造の考え方に変化していくのではないか。業界を超えてアイデアを共有し実現することで、コストと時間も削減できる。そのプラットフォームとしてSDGsを活用できる。

 共有価値をつくるためのエコシステムとして立ち上げたSHIPを通じて、課題を特定し、パートナーシップを生み出し、ソリューションを提供する。SDGsの進捗を見える化するツールとして活用してほしい。

谷本 オープンイノベーションが大企業にも広がっているが、その重要性は。

西口 大企業は自社の技術をどうイノベーションに活用してよいか悩んでいる。SDGsは潜在市場として未来の設計図になる。UNDPのネットワークと説得力に日本の技術力が掛け合わさり、将来予測に基づいて特定したエリアで実現できるはずだ。

谷本 紛争や貧困など複雑化する社会課題に対し、プラットフォームはどう役立つか。

近藤 UNDPは全世界に拠点を置く。最も重要なのはネットワークだ。必要な場所に必要な人が来てくれることで課題解決や開発が進む。日本は非常に大きな役割を担っており、期待されている。SDGsと企業の新たな結合が注目される理由もここにある。

社会課題が事業の基点に

谷本 SHIPのエコシステムは社会課題の解決に重要な役割を示すだろう。

西口 日本には20万人を超える留学生がいる。途上国の留学生は自国の課題が何か明確に分かっている。日本の課題も理解しているが、それを持ち出す場所がない。SHIPに出してもらうことでお互いに「気づき」をもたらす。世界中で社会課題を基点に事業を始める動きが広がっている。いち早く課題に気づいた企業と話し連携する中で、ピースをつなげて課題を解決していく。

谷本 SDGsと親和性の高いセクターは良いが、そうでない場合はどうすればよいのか。

西口 我々がこだわるのは現地・現物だ。そのためのデジタルプラットフォームを運営し、世界各国の現場に山積する課題を生情報の形で収集している。会員企業に定期的に更新した世界各国の課題を伝えているが、重要なのは、その課題を解決したいと思えるかどうかだ。他国の事情を知ることで、課題解決のヒントが得られる場合もある。

谷本 今後期待することは何か。

近藤 SDGsは「ドラえもん」のような存在だ。未来から来て、幸せになるための助言をしてくれる。企業は顧客が望むものを提供してきたが、これからはどんな未来にしたいかのデザインを手伝う存在になれば良いのではないか。

西口 SHIPでは、無料コミュニティー向けにSDGs×ビジネスに関する様々な情報を提供し、オープンセミナーも開催している。企業向けには、SDGsを事業戦略に取り入れ、SDGsを達成するビジネスモデルを構築するための有料プログラムを多数用意している。まずは法人会員になっていただき、世界中の課題を情報収集しているSHIPデジタルプラットフォームから自社が解けるもの、解きたいものを発見することが良いスタートになるはずだ。

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