【基調講演】柏木 孝夫 氏 水素が切り開く日本の成長戦略

2015年8月24日

東京工業大学
特命教授・名誉教授
柏木 孝夫 氏

 昨年、閣議決定をしたエネルギー基本計画を受けて水素社会に関するロードマップを策定、水素・燃料電池戦略協議会も組織された。究極の持続可能なエネルギー社会は、水素燃料電池をいかに早くデマンドサイドに入れていくかにかかっている。

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 ポイントは2つある。1つは水素エネルギーをいかに合理的に利用する社会をつくっていくか。それには3つのステップを考えている。まず向こう5年間、家庭用燃料電池(エネファーム)やFCVの普及促進を図る。次に、海外から褐炭由来水素や副生水素などをトルエンと結合させて搬送する道を開くことで、現在1キログラム1000円程度の水素価格を同300円ぐらいまで下げる。最後に、エネファームなどで余剰の電力から水を電気分解する循環型のシステムを構築し、二酸化炭素(CO2)のトータルフリー社会を実現する。30年から50年の間に一挙に水素社会が進み、国内だけで8兆円産業に育つだろう。

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 2つ目のポイントはエネルギーのシステム改革だ。電力やガスの自由化を通じて、バラバラだった事業法を束ねたシステム統合を目指す。これによって家庭部門の電力自由化も進み、HEMS(家庭用エネルギー管理システム)のもと自ら発電した電気を売ることもできる分散型エネルギー社会を実現できる。

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