【企業講演】原田 英一 氏 国際水素サプライチェーンの実現に向けた川崎重工の取り組み

2017年8月29日

川崎重工業 執行役員
技術開発本部 副本部長
原田 英一氏

 水素発電を実現する場合、国内だけでは水素が足らず、海外からも導入する必要がある。その原料として当社は、オーストラリアに大量に存在しながら有効利用されていない褐炭に注目している。ビクトリア州にある褐炭を使い、水素をガス化という技術で製造する。その際、水素と共に発生するCO2を地下に貯留する。この結果、水素はCO2フリーということになる。これを液化天然ガス(LNG)のように運搬船で国内に運び、様々な用途に活用する計画だ。褐炭は非常に安価で世界中に埋蔵されている。権益も容易に取得できる。このため、水素を製造する場合、最も経済的な方法の1つとされている。

 コストについても試算してみた。燃料電池車用水素ステーションの水素の原価としては60円で、現在100~110円で販売されているものが、かなり安くできるのではないかと考えている。

 当社は、「水素を造る、運ぶ・貯める、使う」というインフラの技術展開を図っている。セ氏零下235度という液化水素を積んで日本まで運ぶ「液化水素運搬船」は世界に先駆ける試みで、我が国の産業競争力向上にも資する。関連機器や技術開発で我が国の成長戦略にも貢献できるはずだ。

 NEDO助成事業として、来年にかけて神戸市で水素ガスタービンコージェネレーションの技術実証を行い、2020年にはLNG運搬船や液化水素技術などを活用し液化水素国際輸送のパイロット実証を実施する。こうした一連の技術をもとに30年には商用チェーンを実現させたい。

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