【企業講演】田中 義和 氏 燃料電池自動車MIRAIの開発と水素社会の実現に向けて

2017年8月29日

トヨタ自動車 Mid-size Vehicle Company
MS製品企画 ZF チーフエンジニア
田中 義和 氏

 トヨタは水素社会の実現に向けてFCVを社会に投入することを決断した。水素は「使用過程でCO2を一切発生しない」「多様な1次エネルギーから製造可能」「同じ体積で電池の約7倍のエネルギー密度を有する」などの特徴があり、将来の社会活動の有力なエネルギー源になると考えたためだ。

 我々はFCVを究極のエコカーと位置付け、1992年から開発を進めてきた。2002年には日米で限定販売を開始。計200万㌔以上の走行実績を積み上げ、その結果をフィードバックして14年にFCV「MIRAI」を発売した。

 MIRAIは車載した水素と、空気中の酸素の化学反応で生じる電気でモーターを駆動し走行するため、排出ガスが出ずクリーンなのが特徴だ。長年の技術開発によって燃料電池と水素タンクの性能向上や低コスト化を実現。さらに「信頼性の高い高圧水素タンクによって漏らさない」「万一の水素漏れは水素検出器で検知して遮断」「漏れた水素が拡散しやすい構造に設計」など水素の安全性に配慮。MIRAIの水素充填時間は3分程度で、1回の充填による走行距離はモード走行で約650㌔㍍と、内燃機関車と変わらない使い勝手を実現した。

 MIRAIの発売以降、多数のオーダーがあり今年6月までに3700台を販売した。20年以降はグローバルで年間3万台以上を目指す。FCV普及に向けてFCバスやFCフォークリフトの導入、FCV関連の特許実施権の無償化も進めている。今後も水素社会実現のイノベーションのきっかけとなるべく取り組みを続けていきたい。

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