「公有資産は可能性を秘めたフロンティア」

2018年3月9日

日本政策投資銀行 地域企画部担当部長
PPP/PFI推進センター長
足立 慎一郎 氏

足立 慎一郎 氏

 地方創生に向け、官民連携による新たな取り組みが注目されている。中でも、学校や公民館といった公有資産の利活用を契機とした地域づくりが活発だ。なぜ今、公有資産を活用するべきなのか、具体的にどんな手法が成果をあげているのか。地域活性化に詳しい日本政策投資銀行 地域企画部担当部長の足立慎一郎氏に聞いた。

情報をオープンにして対話を

――まず公有資産とは具体的にどんなものを指すのでしょうか。

 いわゆる箱物としては、学校、庁舎、公民館、公営住宅などがあり、インフラと呼ばれるものには道路や上下水道、橋梁などが含まれます。人口減少・少子高齢化や財政状況悪化が進む中、いずれもダウンサイジングさせつつ、適切にメンテナンスをして再編成あるいは再構築し、街全体の活性化につなげていく必要があるという点では共通しています。

――なぜ今、公有資産にスポットが当たっているのでしょう。

 全国的に老朽化が急速に進んでいるからです。総務省は全国約1700の自治体に対し、2016年度末までに現状把握と今後の維持管理・運営の基本方針について計画を策定するよう求めました。公有資産のうち、道路や上下水道などのインフラは、人口が減ったからといって簡単に閉鎖したり廃棄したりできません。しかし、箱物は自治体の置かれた状況に応じて、統廃合や他の用途への転用、あるいは跡地を売却するなどして財源化することもできます。そう考えると、いわばまだまだ手つかずのフロンティアであり、官民にとって大きな可能性を秘めた資産と言えます。

 実際、官民連携を含む様々な創意工夫により、成果をあげる自治体も出始めています。ただ、こうした例は少数派で、全国的にみると、計画を策定したのはいいが実施に移せていない自治体の方が多いのが現状です。過疎化や高齢化のスピード、財政制約などを考えれば、一刻の猶予も許されません。従来型の発想を排し、前例のない事業にも果敢に取り組む気概を持って、地域づくりを進めていく必要があります。また、これまではハードばかりに目を向けがちでしたが、ソフトも含めて柔軟な発想が求められていると言えるでしょう。

――自治体はどのように対策を進めていけばよいでしょうか。

 まず重要なのは、公有資産に関する情報をオープンにすることです。自治体側では「こんな建物、使い道はないだろう」と思っている物件が、民間から見ると宝の山だったりします。あるいは逆に「古い施設だけどポテンシャルはあるはず」と思っていたら、買い手や借り手が見つからないというケースもあります。

 そして、自治体としてのビジョンや方針を明確なメッセージとして発信し、民間の企業や組織の意見を聞くことです。ともすれば「上から目線」になりがちですが、官も民も地域の活性化という共通目標を持ち、同じ船に乗っているパートナーとして、対等の立場で対話することが大事です。困っていること、迷っていることは率直に相談する。サイトの見せ方一つとってみても、民間には豊富なノウハウがあり、ソリューションは様々な形で提供できるはずです。

  • 日経イベント&セミナー

このサイトについて

日本経済新聞社について