「農業を支える人たちの情報インフラ目指す」

2017年10月19日

マイナビ 執行役員
地域活性事業部 事業部長
池本 博則 氏

池本 博則 氏

 総合情報サイトを手掛けるマイナビ(本社:東京・千代田)が農業情報ビジネスへの取り組みをスタートした。8月に総合農業情報サイト「マイナビ農業」を開設。農業に従事する人や、これから就農したい人、流通業者、消費者といった関係者をつなぐ「寄合所」として、農業再生への貢献をめざす。サイト開設の狙いや今後の展開について、地域活性事業担当の池本博則執行役員に聞いた。

「いちばん大きな寄合所」になる

――マイナビというと、就活や転職情報サイトのイメージが強いですが、なぜ農業ビジネスに取り組むことにしたのですか。

 ご指摘の通り、当社の主力は人材ビジネスですが、ここ数年は地方創生や地域活性といった課題にも取り組んできました。少子高齢化やグローバル化が急速に進む中、国の活力を維持・拡大することが人材ビジネスの成長にもつながると考えたからです。

 その一環として、3年ほど前から厚生労働省や農林水産省から委託を受け、新規就農者の拡大や、就農後の定着を支援する事業を行ってきました。今年4月には農業ビジネスを専門に担う地域活性事業部を発足。具体的な事業の第1弾として立ち上げたのが、「マイナビ農業」です。

――「マイナビ農業」はどんなサイトを目指しているのでしょう。

 「いちばん大きな寄合所になりたい」をスローガンに掲げました。農業にかかわる人たちや、関連する情報が、日本で一番多く集まる場所にしたいという意味です。ここ数年、農業の世界に接して思ったのは、農業にかかわる人や組織は非常に多岐にわたり、それらをつなぐ情報インフラが整っていないのではないか、ということでした。これは非常にもったいないことです。

 例えば、先進的な農法に取り組む人は増えています。同じように先進的な流通の仕組みを考えている人、さらに、そうした人たちと協力して地域を活性化させたいと考える自治体の首長の方々も大勢いらっしゃいます。マイナビ農業は、農業に関わる人たちの想いをマッチングし、新しい取り組みを生み出す場になればと考えています。

10年20年後の道しるべに

――具体的にはどんな情報を載せているのですか。

 農業にかかわる各種ニュースを網羅しています。また、農家や流通、消費者の方々の生の声を積極的に取り上げていきます。これは私たち自身の知見を増やしていくためでもあります。私たちは農作業や技術などに関しては素人。皆様から教えていただく立場です。そのかわり、情報の取り扱いについてはプロです。読み応えのある記事を発信していくと同時に、新たなビジネスにつなげる仕掛けづくりにも知恵を絞りたい。農業に携わる人にとって、なくてはならないインフラのような存在になることが目標です。

――あらためて、日本の農業の課題について、どうお考えですか。

 ある農業関係者の方のお話が印象に残っています。「もう5年後には辞めるよ、と言いながら、10年後も続けている農家が多いんです」と。国の保護政策があり、農協があり、考えなくてもいい環境がありました。これは悪いことばかりではなく、こうした仕組みがあったからこそ、日本の農業は発展してきたわけです。

 しかし、農家の高齢化は一段と進み、新たな担い手の育成が急務です。ただ、新規に就農しようとする人たちが農業について調べようと思っても、誰に聞けばよいのかわからない。すでに農業に携わっている方々であっても、新しい情報に接する機会は少ないのが実情です。未来の農業を支えていく人たちが想いを寄せ合い、10年20年後のよりよい姿や道しるべを示すことができればいいなと思っています。


池本 博則(いけもと ひろのり)氏

2003年、毎日コミュニケーションズ(現:マイナビ)に入社。2016年、執行役員 地域活性事業部 事業部長に就任。2017年8月には総合農業情報サイト『マイナビ農業』を立ち上げた。

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