「民間と連携、無電柱化へ技術開発急ぐ」

2017年10月3日

都民の理解と関心を深めつつ推進

――計画を進める上での課題はどんな点があるでしょうか。

 まず、地中化にはいくつかの方式がありますが、都では電線共同溝方式を採用しています。地中に管路を埋め、中にケーブルを通し、トランスなどの地上機器を歩道上に置きます。管路や地上機器の費用は道路管理者で負担し、地上機器やケーブル、民地側への引き込み管は電線管理者が負担することになっています。

 無電柱化の課題は、コスト、工期、狭あい道路での整備の3つがあります。コスト面では、電線共同溝方式の場合、整備費用が1㌔㍍当たり5.3億円かかり、このうち道路管理者が3.5億円、電線管理者が1.8億円を負担します。工期については、標準工程の場合、400㍍の整備に約7年かかるといわれています。なぜそんなに時間がかかるかと言うと、まず既設の管の位置を確認したうえで、新たに管路をどこに通すかを決めなければなりません。また、地上機器をどこに置くかは地域の住民と交渉する必要があります。さらに、警察、都、電線管理者など関係者が多く、手続きに時間がかかるという要因もあります。

 狭あい道路では、地上機器を置く場所がないという問題点があります。また、設備更新のしやすさも重要で、古くから100%の無電柱化を実現しているロンドン、パリでは維持管理に苦労しているという話も聞いています。

――今後の取り組みについて教えてください。

 9月1日に施行になった条例では、都民の理解と関心を深めつつ無電柱化を推進するほか、地域住民の意向を踏まえて良好な街並みを形成する、という基本理念を定めました。また、都は無電柱化の施策の策定、実施、関係事業者は電柱・電線の道路上への設置抑制・撤去などに取り組むといった責務等も盛り込んでいます。今後、新たな無電柱化計画を区市町村と連携して策定し、広報活動の充実や、技術開発等に取り組んでいきます。

 技術開発の面では、今年1月に東京都無電柱化低コスト技術検討会を設置。東京電力パワーグリッド、NTTインフラネット、日本ケーブルテレビ連盟といった事業者と共に、技術検討を進めています。具体的には、分岐桝の小型化や新材料の活用、多条敷設の適用による材料費の削減などです。

 また、電線管理者が所有する管路やマンホールなどを活用することで、工事の迅速化を図る取り組みも行います。さらに、無電柱化に新たに取り組む区市町村には、今年度、計画策定費の100%を都が補助、工事費では国の交付金と合わせて自治体の負担なしで取り組める財政支援を拡充しました。さらに、地上機器の設置場所として、公園などの公共空間や民地といった道路外の敷地の利用も進めていく考えです。


三浦 隆(みうら たかし)氏

1982年4月東京都庁入都。スポーツ振興局スポーツ施設担当部長、オリンピック・パラリンピック準備局スポーツ施設担当部長、建設局河川部長などを経て、2016年7月より建設局道路監。

このサイトについて

日本経済新聞社について