「民間と連携、無電柱化へ技術開発急ぐ」

2017年10月3日

東京都 建設局 道路監
三浦 隆 氏

三浦 隆 氏

 東京都は9月1日、東京都無電柱化推進条例を施行した。都市防災機能の強化や、安全で快適な歩行空間の確保、および良好な都市景観の創出を図るのが目的で、区市町村とも連携し、無電柱化を推進していく。現状の取り組みや課題について、東京都の建設局道路監を務める三浦隆氏に聞いた。

「防災・歩行空間・景観」が目的

――無電柱化を巡る最近の動向から教えてください。

 2016年12月に無電柱化の推進に関する法律が施行されました。東京都でも同年12月、都民ファーストでつくる「新しい東京」実行プランを策定。その中でセーフシティの実現をうたっており、その柱の1つとして無電柱化推進条例を制定しました。。

 現在の無電柱化の実施状況ですが、都内23区では8%となっています。これは国道、都道、区道の合計です。世界の主要都市では、ロンドンやパリ、香港が100%、ソウルも46%と、東京とは大きく差があるように見えますが、測り方が違います。ロンドンなどは電線などのケーブル延長ベースで計測していますが、日本では道路延長ベースですので、単純比較はできない点には注意が必要です。

――あらためて、目的は何でしょうか。

 大きく分けて3つあります。1つは都市防災機能の強化。大地震などの災害時に電柱が倒れると道路が閉鎖され、消防車や救急車が通行できなくなってしまいます。また、電気や電話といったライフラインを確保するにも地中化が必要です。2つ目は安全で快適な歩行空間の確保です。電柱があると歩道が狭くなり、車いすやベビーカーが通りづらい。3つ目は電線を地中化することで、良好な都市景観を創出するためです。

――東京都では、ずいぶん昔から無電柱化の動きはあったそうですね。

 明治40年(1907年)に広尾で地中ケーブルが使用されたのが始まりです。大正時代にも、赤坂、四谷、牛込などで地中配電供給方式が取り入れられた地域がありました。しかし、昭和に入ると、都市部への人口流入が増え、配電設備の整備を急ぐ必要に迫られ、架空線による整備が進みました。海外では早くから無電柱化が進みましたが、日本では電線の被覆技術が非常に発達し、架空の安全性を確保できたことで、かえって無電柱化が遅れたという側面もあるようです。

 1995年以降、高層ビルの建設が進み、電力需要の高まりから無電柱化が進みました。また、都市整備の活発化に伴い、住民からも無電柱化を求める声が高まってきました。そこで都は86年に無電柱化推進計画の最初の5カ年計画をスタート。対象道路は歩道幅員が2.5㍍以上で、計画幅員で完成している道路とし、対象地域は23区、多摩地区の人口集中地域内としました。その後、5カ年計画を繰り返し、2013年度までに第6期が完了、819㌔㍍の都道を地中化しています。

――現在の計画はどうなっていますか。

 第7期(2014~18年度)では、916㌔㍍の着手または完了を目標にしています。2016年度末現在、区部全体では57%、おおむね首都高速中央環状線の内側となるセンター・コア・エリア内では94%、多摩地域は18%をそれぞれ地中化しています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みとして、計画に位置付けたセンター・コア・エリア内の都道と20年に競技会場になる予定地周辺の都道では、19年度までに無電柱化を完了させます。また、防災機能の強化に向けた取り組みとして、災害時の緊急搬送や災害拠点を結ぶ第一次緊急輸送道路は24年度までに50%を完了、震災時に一般車両流入禁止区域となる環状七号線は100%完了を目指します。無電柱化を推進する区市町村には国の交付金と合わせて財政支援を行っています。


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