「『スケルカマップ』で無電柱化を加速」

2017年10月5日

ジオ・サーチ 代表取締役社長
冨田 洋 氏

冨田 洋 氏

 路面下の空洞や埋設物の探査などを手掛けるジオ・サーチ(東京・大田区)が、無電柱化への取り組みを強化している。地上から地下埋設物を3次元で正確に探査する「スケルカ」と呼ぶ技術を開発。工期の大幅な短縮やコスト削減が可能として、自治体などに採用を働きかけていく。スケルカを開発した経緯や技術の特色、今後の事業展開などについて、冨田洋社長に聞いた。

誤差10センチ以内で地下埋設物を検知

――まず、ジオ・サーチの沿革などを教えてください。

 当社は1989年に創業し、翌年世界で初めて路面下空洞探査システムを開発しました。道路の陥没を防ぐため、地下に空洞がないか調べることが主な目的でした。国内で実績を重ねていましたが、転機は1992年、国連から対人地雷の探知に使いたいという要請を受けたことです。当時は直径50センチまでの探査が限界で、直径5センチのプラスチック地雷は探知できませんでした。その後、カンボジアの地雷原に入って試作機をテストするなど、15年かけて解像度を100倍に高め、地雷探知能力を向上させました。その技術を進化させ、2008年に実用化したのが「スケルカ」です。

 地面を掘り起こすことなく、地上から地下埋設物を3次元で正確に探査する技術です。地下1.5㍍までの地下埋設物を水平・垂直方向とも10センチ以内の誤差で測定できます。歩道は手押し型スケルカートで1日約1000平方㍍、車道は最高時速80キロで走れる車載型スケルカ―で一日1万平方㍍もの広範囲を調査することができます。


地上地下インフラ3Dマップを使った画像

 従来の装置では道路の断面の探査しかできませんでした。スケルカは、線ではなく面で3次元データを取得し、埋設管の曲がりや重なりなどを連続的に可視化することができます。新規埋設物のルート選定や既存埋設物の移設設計、安全な掘削工事などがスピーディーに行えるようになりました。

 さらに今回、3次元レーザースキャナーで取得した地上部の点群データと結合することで、地上・地下インフラ3Dマップの作成を実現しました。地下に輻輳して埋設された通信、水道、電力、ガス、下水などを管種別に分りやすく色分け表示しています。また、地上のデータを使って無電柱化後のシミュレーション画像も表示することができます。

――無電柱化を進めるにあたり、スケルカを使うことでどんな効果が見込めるでしょう。

 無電柱化工事の工期は設計から完成まで平均約7年かかるといわれています。大きなネックとなるのが、台帳にも載っていない不明埋設物です。スケルカを使えば、できるだけ試掘を少なくしながら、不明埋設物を把握することができます。また、全ての関係者が分かりやすい地上・地下インフラ3Dマップの情報を共有することで、設計、調整、施工、管理の全ての工程で効率的な工事を進めることが可能です。

 正確な地上・地下インフラ3Dマップは、住民の方々にも工事の内容や難易度をわかりやすく説明できるメリットもあります。手戻りの回避、掘削工事の削減、既存埋設物の損傷事故の防止などにより、工期を最低でも2年以上は短縮でき、労働コストも約1億円の削減につながるとみています。

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