「稼げるまちづくり~世界のONOMICHIへ」

2017年6月23日

尾道市長
平谷 祐宏 氏

平谷 祐宏 氏

 広島県尾道市は観光をテーマに「稼げるまちづくり」を目指している。倉庫を活用した複合商業施設や、歴史的な建築物を生かした空き家再生プロジェクトなど、全国的に注目される施策も多い。美しい自然や街並みに加え、最近は「しまなみ海道」を中心にサイクリング愛好家の来訪も増加。こうした観光人気の追い風を雇用の増大や地域の活性化にどうつなげていくか。アイデアマンとして知られる平谷祐宏市長に聞いた。

「サイクリストの聖地」しまなみ生かす

――尾道は坂の町、お寺の町として昔から観光地として親しまれてきました。ここへ来て、あらためて「稼げるまちづくり」を掲げ、様々な施策に取り組む狙いは何でしょう。

 豊かな自然や歴史といった観光資源に恵まれてはいますが、それを本当に生かし切れているのかという問題意識があります。少子高齢化や造船不況で市の人口は右肩下がり。観光客の増加を雇用拡大や地域の活性化につなげなければ、市民のくらしは豊かになりません。そのためには自治体の力だけでは限界があります。民間の投資を呼び込む、あるいはNPOなど市民の力をお借りする、さらに県や国も巻き込んでいく。そうした仕掛けづくりが必要だと感じています。

 1つはサイクリングを軸にした様々なプロジェクトです。1999年に全面開通した「しまなみ海道」は、尾道と愛媛県今治市の間に横たわる島々を橋で結ぶ世界的にも珍しい景観が人気を呼び、「サイクリストの聖地」と呼ばれています。2012年には台湾の大手自転車メーカーであるジャイアントと日本のシマノの協力を得て、しまなみ海道の景観を撮影して世界に発信するイベントを実施。さらに2014年には車を通行止めにして初のサイクリング大会を開催し、約8000人の参加者が集まりました。


尾道市と愛媛県今治市、上島町による官民一体の観光地経営体「しまなみジャパン」設立記者発表会(中央が平谷市長)

 サイクリスト向けの施設も充実させています。尾道港の近くにあった県営倉庫を改築した複合商業施設「ONOMICHI U2」は2014年にオープン。自転車ごと部屋に宿泊可能なサイクリスト専用ホテルや、レストラン 、セレクトショップなどがあり、昨年は50万人を超える人が訪れました。宿泊客の3割は外国人です。広島県の支援を得たほか、ジャイアントも出店するなど、官民協力による成功事例だと思っています。

 民間の動きとしては、JR西日本が2018年夏をメドに尾道駅を全面改修する予定で、やはりサイクリングの関連施設が入るそうです。また、因島に本社を置く健康食品メーカー、万田発酵もサイクリストの給水所・食事・救護所であるエイドステーションとして利用できる施設を2018年春に開設する計画です。2018年には国際サイクリング大会も予定しており、世界に「しまなみ海道」をアピールしたいと考えています。

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