「SDGsを活用した都市イノベーション」

2017年1月24日

建築環境・省エネルギー機構
理事長
村上 周三 氏

村上 周三 氏

 国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に向け、日本でも取り組みが本格化している。2030年を目標に、貧困の撲滅のほか、教育、環境、人権など幅広い分野で成果が求められており、中核的な担い手として自治体への期待が高まっている。都市問題に詳しい建築環境・省エネルギー機構の村上周三理事長に、自治体が果たすべき役割について聞いた。

SDGsの実現へ自治体の取り組みが重要

――まず、SDGs(Sustainable Development Goals)が採択された背景から教えていただけますか。

 SDGsは2001年に国連で採択された「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継と位置づけられています。MDGsは主に発展途上国支援の目線から、貧困対策などに重点が置かれていました。2015年の目標年度までに一定の成果をあげましたが、世界的な格差拡大や異常気象、自然災害の多発などを受け、先進国も含む全世界での取り組みが必要になったとして、より幅広い分野を対象とした新たな目標を掲げることになったのです。

 全部で17の目標がありますが、先進国にとっては、すでに卒業した項目もあります。とはいえ、日本がすべての項目を十分満たしているかと言えば決してそうではなく、国際機関の評価では遅れている分野もあります。最近注目を集めている働き方改革や、ジェンダー格差などもそうです。SDGsは目標に対する達成状況を各国が国連に報告する義務を負っています。ですから、日本がこうした問題への取り組みに弾みをつける、よいきっかけにもなると思います。

――SDGsの実現に向け、日本では自治体レベルの取り組みが重要だと提言されていますね。どういった理由からですか。

 自治体はグローバルなレベルとローカルなレベルのちょうど中間的な立ち位置にあります。幅広いスケールで参加者を取り込んでいくために好都合なポジションにあるわけです。特に、住民との距離が近く、住民のQOL(生活の質)の向上というSDGsの目標に取り組みやすいと言えます。

 自治体のSDGsの位置づけを図で表すと下のようになります。自治体レベルの取り組みは大きく2つに分けられます。1つは義務的・包括的な部分で、国の方針を受けて自治体行政の責務として推進するもの。日本は国として国連の趣旨に賛同して参加しているわけですから、すべての自治体に取り組む責任があります。

 もう1つは自主的・選択的な部分です。それぞれの自治体が固有の条件を踏まえて推進するもので、こちらがより重要となります。各自治体は当然、持っている資産も基盤も規模も違います。固有の条件の中で、いかにローカルアイデンティティーを確立していくか、イノベーティブに発展させていくか。その起爆剤として、SDGsの枠組みをぜひ使いましょうよと提案しているところです。


(出所)村上周三氏提供

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