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スマホで話せば体調がわかる~音声病態分析が開く未来の医療

東京大学大学院医学系研究科 音声病態分析学 光吉俊二氏 徳野慎一氏

 今後、2人が力を入れていこうとしているのが、さまざまな病気の診断への活用だ。「交感神経と副交感神経のバランスが崩れる疾患や、声に特徴的な変化が現れやすい疾患に応用できる可能性がある」。徳野氏は指摘する。

日本語以外の言語にも対応へ

 例えば、認知症。診察を多くてがけた医者や看護師には、声の質から感覚的に患者かどうかがわかるといわれる。特徴を抽出してプログラム化すれば診断が可能になるかもしれない。また、パーキンソン病も吃音や声の震えに特徴がある。

 睡眠時無呼吸症候群は診断を確定するのに1泊する必要があるが、家庭でも診断できれば負担が軽くなる。患者が呼吸を補助する装置を付けて寝た際に、よく眠れたか、眠れていないか、声の違いで効果を判断する用途も検討している。「睡眠の質が悪いと高血圧や動脈硬化といった生活習慣病に悪い影響があり、意義は大きい」(徳野氏)

 さらに、日本語以外の言語への応用研究にも乗り出す。光吉氏は昨年末、ルーマニアの大学を訪問。共同研究を実施する方向で協議を始めた。ルーマニアはルーマニア語のほか、ハンガリー語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、トルコ語などが使われ、さまざまな被験者を集めやすいという。

 今後、音声病態分析の精度が向上すれば、病院などで次回の診察までの自宅や職場での状態をスマホの記録から読み取ることができ、診断時間の短縮や正確な診断につなげられる。ひいては医療費の抑制にも貢献できるだろう。また、119番などでの応対に使えば、救命率を高める効果も期待できる。デジタルデータとして残るため、さまざまなシステムとの連携もしやすく、可能性は大きく広がりそうだ。

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