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協力:NTTドコモ

スマホで話せば体調がわかる~音声病態分析が開く未来の医療

東京大学大学院医学系研究科 音声病態分析学 光吉俊二氏 徳野慎一氏

 同時に、自衛隊の協力を得て、光吉氏のソフトを評価する取り組みも始めた。東日本大震災で支援活動に携わった自衛隊員を対象に、面接でカウンセリングなどが必要と判定された人と、健常と判定された人とで、音声に含まれる感情の成分を比較。当初は、はっきりとした違いを見つけることはできなかったが、アルゴリズムに改良を加えていき、最終的にはほぼ完全に判断がつくようになった。

 光吉氏が強調するのは「単純に感情を認識するだけではうつ病の診断はできない」という点だ。光吉氏らが精度を上げられたのは独自に工夫した分析手法が要因で、特許も出願する予定だという。科学的な厳密さを検証してもらうと同時に、音声病態分析の技術をさらに向上させ、広く認知させていくには防衛医大では限界があるとして、東大で講座を開設することにした。

アプリで誰でも手軽に使える

アプリの画面には自分の声の分析結果を表示 アプリの画面には自分の声の分析結果を表示

 また、せっかくの技術も広く使われなければ意味がないとして、スマホで普通に話しているだけで、声の分析ができるアプリも開発した。光吉氏が設立したベンチャー会社、PST(本社・横浜市)が実際に開発。昨年、「MIMOSYS(ミモシス)」としてアンドロイド対応スマホ用に提供を始めた。日常の会話から心の状態を分析し、「元気圧(現在の心の状態)」と「心の活量値(長期的な心の状態、一定期間の累積データ)」を測定できる。通常の数値と比べることで、体調の変化がわかる仕組みだ。

 アプリは自分のデータを東大などでの研究用に提供することを条件に、誰でも無料で使える。すでにダウンロード数は1000を超え、500人以上が実際に使っている。また、神奈川県が「未病」を減らし、最先端医療を推進する目的で進めるプロジェクト「ME-BYO(ミビョウ)」の推奨製品第1号にも選ばれている。

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