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渋沢栄一 100の金言

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国富には利他という概念が必要である

渋沢 健氏

<b>渋沢栄一</b> 渋沢栄一

 「歴史が繰り返すことはない。しかし、韻を踏む」。米国作家のマーク・トウェインの名言と言われますが、過去にあったことが、そのまま、ふたたび起こることはないかもしれないが、リズミカルな響きがあるということです。

 本連載で紹介している渋沢栄一の言葉を参考にすることは、その過去の時代にノスタルジアを感じて戻りたいということではありません。あくまでも、そのリズムを感じ取り、これからの私たちの新しい時代を拓くために大事なのです。

持続性とは世代を超える利他の意識

利他の観念なき者がいかに富を積んでも、
国が富んだとは言われない。

【「渋沢栄一訓言集」・一言集】


現代の言葉で言うと......

利他という概念を大切に思わない者が富を築いても、
それが国富につながることはない。

国富には利他という概念が必要である

 国富とは、人々が身勝手で利己的な行動をするだけで、全能の神の「見えざる手」が、親切につくってくれる現象なのでしょうか。

 いいえ、そんなことはありません。

 社会には自分だけが存在しているわけではない。多くの人々と一緒に暮らしている。その相手の気持ちを察知しているという基盤の上で、自分が最善の行動を取ることによって「見えざる手」が国の豊かさを実現しているのです。

 現在の日本という、高齢化の民主主義国家の人々が自分のことしか考えない利己的行動に走れば、票数という力によって貴重な国の財源を使い果たしてしまいます。

 人数が多い上の世代が次世代、孫世代、あるいは、まだ生まれてきていない未来の世代に意識と財源を配る利他のマインドがなければ、日本の豊かな経済社会の持続性が脅かされてしまいます。

 ただ、その重要な持続性の意識を社会で表現するために「己」の想いが不可欠です。

 「利己」という認知の限界を超える次世代への時間軸の意識を指す「利他」によって日本の国富の持続性が実現するのです。

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