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渋沢栄一 100の金言

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「人事を尽して天命を待つ」に含まるる真正の意義

渋沢 健氏

 渋沢栄一は、江戸時代の終末期の封建制度のあり方や常識に対抗し、明治時代・大正時代という新しいあり方や常識をつくり、そして、生きました。そういう意味で、高度成長時代が終わり「新しい成長」の時代のあり方や常識を探っている現在に、渋沢栄一が大勢の人々に響くのではないでしょうか。

自分の天命を待つときには姿勢が大事

恭、敬、信をもってせねばならぬものだと信じさえすれば
「人事を尽して天命を待つ」なる語の
うちに含まるる真正の意義も
初めて完全に解し得らるるようになるものかと思う。

【「論語と算盤」・成敗と運命】


現代の言葉で言うと......

丁寧で慎んだ姿勢、進歩向上の心、そして、
信用ある行動によって、「人事を尽くして天命を待つ」という
論語の有名な一説が現実味を帯びることになる。

天命とは自分の面のように自分だけでは見えない

 自分の天命は何かと考えたことはありますか。天からの命令なのか。それとも、天から与えられた命そのものなのか。

 ただ、これが天命であるかということは、結局、人間が自分では勝手に決められません。天命とは、人間が意識してもしなくても、四季が訪れるような大自然そのものです。

 何かよくわからないが、自然に自分を助けてくれる力があるように感じられる。このように心が感じることが天命かもしれません。

 あるいは、日常生活を純粋な心で、自分の責任や判断で物事に取り組んでいけば、いずれ自分の天命を感じることができるかもしれない。

 天命とは、自分自身の顔のような存在ですから、自分の視点だけでは見えないのです。ただ、見えないからと、存在していないものと否定したり、意味がないと無視することでもありません。

 必ず存在する自分の天命とは、人や社会という鏡を通じて、やっと見えてくる自分の面なのです。

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