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顧客を「熱狂」させれば売り上げ10倍も

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

熱狂戦略が機能しづらい商品やサービスとは

 最後に、熱狂戦略を進める上での注意点に触れておこう。このマーケティング手法は、すべての商品/サービスに効果的とは限らないのだ。あなたが優秀なマーケターであれば、きっとこんな疑問が頭に浮かんでいるだろう。

「熱狂的な推奨者は中長期的な利益の源泉となることはわかったが、うちの商品はスーパーやコンビニで売っている一般消費財だ。そんな商品でも推奨による売上増とコスト減は見込めるのだろうか」

 この疑問は見事に的を射ている。熱狂的な推奨者の存在は、中長期的な利益の源泉となる。これはいかなる商品やサービスにおいても例外のない事実である。しかし、熱狂的な推奨者の存在が、どれほどの「ビジネスインパクト」を与えてくれるかについては、大きな差が生じる。これが正しい結論だ。

 熱狂戦略の向き・不向きは、「売り上げに占める"推奨による"顧客獲得貢献度」によって決まる。「推奨によるCPA(※)低下率」と言い換えることもできよう。あなたが担当しているブランドが、比較検討期間が長い商材の場合、熱狂戦略との相性は抜群だ。比較検討商材は、単価が高く、購買頻度が少ないものが多い。つまり、一度買ってしまうと、買い替えが容易でない商材である。

(※)Cost Per Acquisitionの略。1人あたり顧客獲得単価。500万円を投じて1000人の顧客を獲得できた場合、500万円÷1000人=CPA5000円となる。

 このような特性を持つ自動車、カメラ、家電、キャンプ用品のような趣味性商品は、口コミ(レビューやレコメンド)による購買への影響力が大きい。また、化粧品やレストラン、ホテルなど、購入理由の一定割合に「人からの推奨(口コミ)」が入る商材も同様である。これらの商材は、熱狂的顧客による売上増とコスト減が大きなビジネスインパクトとして見込めるだろう。

<b>商品/商品カテゴリー別の熱狂度スコア</b> 商品あるいは商品カテゴリーごとに「顧客の熱狂しやすさ」を表している。熱狂度スコア≒売り上げに占める 商品/商品カテゴリー別の熱狂度スコア 商品あるいは商品カテゴリーごとに「顧客の熱狂しやすさ」を表している。熱狂度スコア≒売り上げに占める"推奨による"顧客獲得貢献度を示す

 一方、飲料やアルコール、シャンプーや洗剤などの一般消費財は、単価が安く、購入頻度が多いため、万が一失敗したとしても買い替えが容易である。つまり、失敗によるリスクが低いわけだ。そういった商材は、わざわざ購入前に口コミを調べることが少なく、熱狂顧客による推奨効果は限定的となる。

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