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顧客を「熱狂」させれば売り上げ10倍も

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 ただし、このミッションの発動には注意が必要である。熱狂度が上がっている顧客は、与えられたミッションに喜び、ブランドと同化すべく、一生懸命に取り組んでくれるだろう。しかし、熱狂度が上がっていない顧客に対して同様のミッションを提示すると、「なんで自分がそんな面倒なことをしなくちゃいけないんだ」と逆に反感を持たれてしまう。ミッションを提示する際は、熱狂度が高い状態にある顧客に「だけ」メッセージを送ることに注意してほしい。

(4)共創する(Co-Creation)
 熱狂顧客は、全顧客のトップ数%にいる「選ばれし者たち」だ。彼ら彼女らは、売り手と買い手という垣根を越え、ブランドパートナーとして一緒に活動したいと願っている。新商品開発や商品リニューアル、新用途開発、店舗の品ぞろえやサービス改善、イベントの企画など、様々なブランド活動に関与したがっている。そして、彼らはそれらに貢献するだけの情熱と知識価値を有している。

 あなたのブランドは何人の社員によってマーケティング活動を遂行しているだろうか。熱狂顧客を「優良顧客」としてだけでなく「同僚」とみなし、マーケティング活動を手伝ってもらおう。彼ら彼女らは、「結果」だけでなく「プロセス」にも関与したがっている。熱狂顧客は、あなたがつくった価値を「消費するだけの者=消費者」ではなく、一緒に価値をつくってくれる「価値共創者」なのである。

(5)興奮させる(Exciting)
 熱狂には、動的な熱狂と、静的な熱狂がある。動的な熱狂は、有名アーティストのライブ会場のような熱狂状態だ。多くの人がイメージする熱狂はこちらのものだろう。

 一方の静的な熱狂とは、「ワーワーキャーキャー」と騒がないため、一見すると熱狂していないように見えるが、内に秘めたる熱い想いがある。駅のホームの端っこで一日中お目当ての電車を撮影し続ける鉄道ファンたち、バルコニーでハーブやミニトマトの栽培に興じるガーデニングファンの主婦たち、深夜に仕事から帰ってきてヘトヘトなのに、寝る前に必ず1時間は刺しゅうをして心の平穏を取り戻している刺しゅうファンのOLなど、彼ら彼女らは静的な熱狂者である。

 動的な熱狂者であれ、静的な熱狂者であれ、共通しているのは興奮状態であることだ。思わず「ワオ!」と叫んでしまうような瞬間的なものだけではなく、「わくわく」「うきうき」という言葉に代表される、心が踊っている状態だ。熱狂戦略は、前述した4つの施策を繰り返し実施し、顧客の心に「わくわく」「うきうき」という"ざわつき"をつくり続けるのである。

熱狂マーケティングの3ステップ

 熱狂戦略は、「感動→熱狂→信仰」の3ステップで進める。ここで大切なのは、顧客の気持ちになりきって、どういう体験が顧客の感動を生み出し、熱狂状態として維持・向上させ、自ら進んで布教したくなるか、徹底的に考えつくすことだ。「うちの会社では規定上無理だろう」「過去に前例がない」「現実的に一部の顧客だけをそこまで優遇することはできない」などの既成概念は取っ払い、顧客の気持ちになってアイデアを出しきってみよう。

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