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顧客を「熱狂」させれば売り上げ10倍も

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 前回の『購入金額だけで「顧客を格付け」する愚行』で述べたように、顧客の感情を無視したマーケティング施策はいずれ限界がくる。そんなことに注力するより、「その商品が好きで好きでたまらないくらい愛しているから繰り返し買ってくれている」という熱狂的な顧客を大切にすべきだ。全顧客のわずか2~3%でありながら、売り上げ全体の3分の1をつくり出す(単純計算だが、顧客1人あたりの売上高は平均の10倍)。そうした「熱狂顧客」が情熱的な推奨者となって友だちや同僚、家族をあなたのブランドに連れてきてくれる。それが企業の中長期的な利益の源泉となっている。

 こうした熱狂顧客には、マーケティング的な価値がもう1つある。それは、彼ら彼女らが熱狂に至る道程をどのように辿ってきたかを知ることで、「熱狂していない顧客を熱狂させる方法」を学べる点にある。もし、まだ熱狂していない顧客を熱狂させることができれば、その顧客1人あたりの売上高10倍増も期待できる。

「熱狂顧客が歩んできた旅路」を図にしてみる

 少し意地悪な質問だが、あなたはあなたのブランドを愛し、熱狂してくれている熱狂顧客の旅路(カスタマージャーニーと呼ぶ)を正確に把握できているだろうか。なぜそこまであなたのブランドを愛し、熱狂し、お願いしてもいないのに熱っぽく友人や同僚や家族に商品をすすめてくれるのか、そのモチベーションの源泉を理解しているだろうか。

 残念ながら、多くのブランドマネージャーは把握できていないだろう。なぜなら、あなたはプレゼントキャンペーンを打たないと商品を買ってくれない日和見客を振り向かせることに夢中だったからである。

 熱狂顧客が歩んできた旅路を知りたいなら、彼らと直接対話し、教えてもらおう。その旅路から、きっといくつかの黄金パターンが見つかるはずだ。

 次の図はカスタマージャーニーの概念を示している。図の中の曲線が示しているのは、顧客が商品を認知してから熱狂に至るまでの関心度や感情の高まり。周囲にプロットした多数のマーケティング施策は、各ステージにおける顧客との接触点である。顧客はそのいくつかを経験しながら商品を選び、購入し、使用体験を積み重ね、少しずつ熱狂度を高めていき、最後に熱狂顧客になる。実際の熱狂顧客から、どのステージのどんなブランド体験(使用体験を含む)で、どのように感じたかを一つひとつ丁寧に聞き出せれば、「熱狂顧客が歩んできた旅路」を知ることができる。

<b>熱狂顧客のカスタマージャーニーを知る</b> 熱狂顧客のカスタマージャーニーを知る

 これをもとに、まだ熱狂していない顧客に向けて「ブランド体験の鉄板ツアー」をコーディネートしてみよう。成功すれば、推奨者による新規顧客獲得と合わせて、大きな売り上げを獲得できるはずだ。

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