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購入金額だけで「顧客を格付け」する愚行

本当に大切にすべきは「熱狂する顧客」

トライバルメディアハウス 池田紀行氏

 従来の友だち紹介キャンペーンが盛り上がらない理由は、「購入量=満足度=愛顧度=推奨意向」と誤解したまま、購入量が多い顧客に友だち紹介キャンペーンを実施してきたからである。しかし、何よりも大切なのは、顧客の感情、愛や熱狂だ。下図の「熱狂と推奨のキュービックフレーム」を見てほしい。マーケティングの世界では「軸が3軸になった瞬間に図が複雑になり、わかりやすさが10分の1以下になる」という格言(?)があるが、ここで説明したい変数はどうしても3つあるため、立方体になっていることをご容赦願いたい。

<b>熱狂と推奨のキュービックフレーム</b> 熱狂と推奨のキュービックフレーム

 この図は見ての通り、LTV、熱狂度、推奨意向の3軸でできている。あなたの企業やブランドの「中長期的な利益の源泉」になってくれるのは「熱狂顧客」と「熱狂的推奨者」である。青い矢印は「購入量=満足度=愛顧度=推奨意向」と誤解したまま、購入量が多い顧客に友だち紹介キャンペーンを実施した場合のアプローチ方法である。

 しかし、推奨は顧客の熱狂によって発生する。熱狂なき推奨は長続きしない。アプローチしている顧客の熱狂度が低ければ、友だちに企業やブランドをすすめる動機(愛や熱狂)が足りない。だからキャンペーンの効果も短期的かつ限定的になる。

 アルファブロガーやアルファツイッタラーと呼ばれるデジタルインフルエンサー(ネット上で語る言葉に大きな影響力を持つ人々)にアプローチしたとしても、デジタルインフルエンサーはあなたのブランドのファンでもなんでもないケースの方が多い。いくらページビューやインプレッションが多いからといって、愛のない人と契約してあなたのブランドについて書いてもらったところで、その影響力は単なる「感想」で終わってしまう。

 だからこそ重要なのは、友だち紹介キャンペーンのような推奨プログラムを実施する前に、必ず熱狂プログラムを実施することなのだ(赤い矢印)。熱狂プログラムとは、ブランドに対する顧客の感情をLikeからLOVEへ、LOVEから熱狂へと押し上げ、顧客の熱量を上げていくための施策である。その上で推奨プログラムを実施し、熱狂顧客へと育成していくのだ(黄色い矢印)。これが最も適切な流れと考える。

 具体的な熱狂プログラムと推奨プログラムについては次回の『顧客を「熱狂」させれば売り上げ10倍も』で解説する。


池田 紀行 (いけだ のりゆき)

トライバルメディアハウス代表取締役社長。1973年横浜市生まれ。ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、ネットマーケティング会社クチコミマーケティング研究所所長、バイラルマーケティング専業会社代表を経て現職。キリンビール、P&G、トヨタ自動車などのソーシャルメディアマーケティングを支援する。『Facebookマーケティング戦略』『ソーシャルインフルエンス』『キズナのマーケティング』など著書多数。Twitter:@ikedanoriyuki、Facebook:http://www.facebook.com/ikedanoriyuki

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