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なぜか売れる 営業の超思考

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営業しない社長、なのに顧客がなぜ増える

理央 周氏

 営業をしないで新規顧客を開拓した面白い事例をご紹介します。

 豆腐の型箱製作会社の四代目社長が、ユニークな仕組みを作って新規顧客獲得につなげた勉強会を開いて新規顧客を獲得する事例です。

 彼は磯貝剛成氏といい、グロービス経営大学院のMBAでもあります。豆腐の型箱製作会社を経営しているわけですから、営業に行くべき顧客は豆腐屋さんやディーラーさんです。

 本来ならば、一軒一軒まわって注文を取るべきところですが、彼は、そうするよりも、豆腐をもっとメジャーにして、業界全体の売り上げを底上げすれば、巡り巡って自社の型箱も買ってもらえるようになるだろうと考えたらしいのです。

 それで、最初は、一般財団法人全国豆腐連合会(全豆連)という豆腐の業界団体の後援を受けて全国をまわり、豆腐料理を普及させる活動をしていたのですが、あるときふと「豆腐マイスター」という資格制度を作ったらどうだろうか、と思いついたのだそうです。

 そこで、豆腐マイスター認定講座を立ち上げ、それを受講した人に認定証を授与するシステムを作りました。講座では、豆腐の基礎知識から料理まで学べるようになっているので、マイスターに認定された人は、手作り豆腐の教室を開いたり、地域の食育活動に参加したりと、活躍の場が広がります。そうすれば、地域の豆腐消費も活性化し、豆腐業界全体の売り上げの底上げにつながるのではないか、と考えたわけです。

 その後、彼は、全豆連のホームページに豆腐マイスター認定講座のページを作り、豆腐マイスターに関する記事をどんどんアップしていきました。

 そして、全豆連のサイト以外にも会報や業界紙などでも取り上げられるようになり、多くの豆腐屋さんにその存在を知られるようになっていったのです。業界で有名人となった経営者は、多くの豆腐屋さんに認知されるようになり、営業をせずとも、本業である型箱の受注につながっていった、というわけなのです。

 自社の独自性や強みではなく、その周辺にあるものをうまく使って業界の中で名前を売り、自然と受注が入る仕組みを作る。こういうやり方もあるということです。

 今の時代は、従来の発想とは違うアプローチが必要となります。一度、自分が担当している商品に当てはめて考えてみるのも面白いかもしれません。

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 豆腐マイスターの話は、考え方は面白いけれど一営業担当には難しい、そう思った方も多いかと思います。

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