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軋む社会システム、ケアシフトの視点で再構築を

松下博宣氏

産業、家族、そして医療サービス。日本の社会システムをつくってきた諸要素が大きく変化し、全体として見たとき、歪みが目立つようになった。この連載の最終回では、幸福を増進するためにある社会システムについて、本連載のテーマである「ケアシフト」の視点から考えてみよう。

 刻々と進む少子高齢化により、日本社会のあちこちから軋む音が聞こえてくる。日本の社会システムは、15歳から64歳までの生産年齢人口を最大限に活用して、この年齢層が受ける利益を最大化する目的においてはうまく機能してきた。国立社会保障・人口問題研究所によれば1970年における日本人の平均年齢は30.5歳と若々しかったので、それに合った社会システムが構築されてきた。

 ところが、高度経済成長時代にそうした目的に適応し過ぎてしまったがゆえに、少子高齢化と生産年齢人口の減少が急速に進んだ現在、うまく機能できなくなっている。2010年に日本人の平均年齢は45.0歳に達した。もう若々しさを感じる年齢ではなく、成人病を気にし始める年代へと老いているのだ。さらに2030年には、50歳を超えるとみられている。

 事態は深刻度を増している。まず、人口と貧困を軸に考えてみよう。

子どもが増えない、だから生産年齢人口も増えない

 結婚して家族を持てない、あるいは持たない人々が増えている。下のグラフのように、男性は所得が減るにしたがって未婚率が増え、女性は所得が増えるにしたがって未婚率が増える。

<b>年収別の生涯未婚率(推定)</b> 総務省「平成24年 就業構造基本調査」をもとに作成。40代後半(45~49歳)と50代前半(50~54歳)の未婚者数の平均値から生涯未婚率を推定 年収別の生涯未婚率(推定) 総務省「平成24年 就業構造基本調査」をもとに作成。40代後半(45~49歳)と50代前半(50~54歳)の未婚者数の平均値から生涯未婚率を推定

 日本人の平均年収は1990年代後半にピークに達し、その後は女性の平均年収が微減、男性のそれは1割以上減っている。そして、同じ時期に未婚率が急上昇している。2015年の厚生労働白書によると、50歳の時点で1度も結婚したことのない人の割合を示す「生涯未婚率」は男性20.1%、女性10.6%だが、2035年には男性29.0%、女性19.2%にまで増えると予測されている。

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