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インダストリー4.0の全貌と日本企業の取るべき道

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人工知能は自らの能力向上のテコに使え

ローランド・ベルガー日本共同代表 シニア パートナー 長島 聡氏

 日本型のインダスタリー4.0を実践するためのヒント。第3回は「人工知能の活用」です。企業の内部や外部の人材を使うのではなく、コンピューターを使おうというチャレンジです。人工知能もリソースのひっ迫が続く日本企業にとって大きな武器となることは間違いありません。ただ、その一方で人の雇用を奪うという懸念も取りざたされています。今回はディープラーニング(深層学習)をはじめとする最近の人工知能の進化を見た上で、日本企業の進むべき道について考えてみたいと思います。

ディープラーニングの登場

 人工知能が初めて世の中に登場したのは1950年代でした(図1)。当時、人の脳の仕組みを模倣したニューラルネットワークを備えるAI(人工知能)というコンセプトが生み出されました。これは、それまでの「AならB」といった論理式に基づいて置かれた状況に対する一義的な意思決定を行うルールベースの人工知能や、観測を繰り返して徐々に正解に近づく統計的・確率的なアプローチを取る人工知能とは異なり、意思決定の一部を担うものとの期待が高まりました。しかしながら、残念なことに予測機能の欠陥などが指摘され、すぐに下火になってしまったのでした。

図1 人工知能ブームの変遷 図1 人工知能ブームの変遷

 その後、1980年代には階層型のニューラルネットワークの理論が確立されました。ディープラーニングの走りです。ただ、結局これも他の手法に比べて優位性が見出せず、再び一時のブームとなってしまったのです。2度の期待を裏切ることとなった人工知能は夢物語とあきらめられていましたが、2000年代に入ると、活用できる情報量の拡大、情報処理能力の向上に加え、階層型ニューラルネットワークの能力を飛躍的に高めるアルゴリズムが開発され、実用化に向けた取り組みが一気に加速したのです。ディープラーニングが実用段階に入りました。

 このディープラーニングとは、無数の学習データを、次々に多階層のニューロンで重み付けをしながら伝搬し、層を重ねるごとに抽象度を高め、高い抽象度の特徴表現を得ていく方法です(図2)。

図2 ディープランニング(深層学習)とは 図2 ディープランニング(深層学習)とは

 入力データが出力データとできる限り同一(誤差が最小)となるように、重み付けを自律的に修正して、様々なデータの記述が可能となる特徴表現を抽出していきます。特徴表現の抽出を人の助けを借りずに実現したことが、何よりのブレークスルーとなりました。機械が画像や音声等の様々な特徴を自動的に抽出して、その重み付けによってそれぞれの画像や音声を捉えていくのです。人は、機械が捉えた画像を「猫なら猫」、「Aさんの声ならAさんの声」と機械に人が付けた名前を教えるだけで、機械は次から自動的に猫やAさんと判断できるようになるのです。

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