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飛躍する中小企業、グレートカンパニーへの軌道

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既存顧客を起点に「実店舗+ウェブ」で5割増収も

船井総合研究所 大山広倫 氏

 多くの企業がウェブマーケティングに取り組む目的は、ズバリ新規顧客の獲得です。たとえば自社のウェブサイトを構築するのも、新規顧客を呼び込むための施策と考える傾向があります。

 しかし、ウェブマーケティングは、新規顧客となり得る見込み客だけに行うのではなく、既存顧客に対しても行うべきだというのが私の意見です。なぜなら、「既存顧客に対する関係づくりが新規顧客の獲得につながる」からです。また、既存顧客を起点にウェブと実店舗を融合すれば、売り上げを5割増やせる可能性もあることに注目してください。

熱烈ファンの既存顧客から広がる新規顧客獲得の輪

 みなさんは「肉フェス」というイベントをご存知でしょうか。普段なかなか食べに行けない肉料理の有名店や行列店を一堂に集めた人気のフードイベントで、昨年から場所を変えて何回も開催されています。今年のゴールデンウィークに開催された「肉フェスTOKYO 2015春」では、東京、千葉、神奈川の3会場にのべ94万人もの来場者を集めたそうです。

 その肉フェスで、「門崎熟成肉 格之進」という熟成肉で有名な料理店が売り上げ1位を4回も獲得しました。この格之進の営業スタイルはまさに「既存顧客が新規顧客を呼ぶ」もので、そこにウェブマーケティングが密接に絡んでいます。

 格之進を運営する門崎の千葉祐士社長は、顧客との関係構築にFacebookを積極的に活用しています。千葉社長は来店客に熟成肉の話を積極的にしているのですが、その人柄からか来店客はすぐに打ち解け、Facebookで格之進の"友達"となっています。

 そうしたFacebook の"友達"を増やしていくことがお店の売り上げにつながっていくわけですが、特に面白いのは「お肉の解体ショー」などを通して新規顧客を獲得していくところでしょうか。「お肉の解体ショー」は顧客が店を貸し切ったときの限定イベントで、10キロ以上もある熟成肉のブロックを千葉社長らが目の前でさばきつつ、肉のにぎり寿司や粗くたたいた肉のハンバーグ、部位別のしゃぶしゃぶ食べ比べなど、いろいろな肉料理を出してくれます。こうしたイベントの幹事となるのは格之進ファンの既存顧客で、そこに友人、知り合いが集まってきます。千葉社長は、ここでも熟成肉の話をしながら新たな"友達"をつくり、さらに縁をつなぐといった好循環を生み出しています。

 最近では、特定の企業に対して熱烈なファンとなり、積極的にその企業の良い評判を広めてくれるお客様のことを「アンバサダー」と呼んでいます。まさに格之進は、そうしたアンバサダーの方々から応援され、大きくなったお店だと思います。もちろん、格之進で提供されるお肉の品質の高さや千葉社長をはじめスタッフの方々の仕事ぶりがアンバサダーによる紹介を促進していることは言うまでもありません。

 ちなみに、どのお客様がアンバサダーなのか、その手がかりをネットで検索できることをご存知でしょうか。ヤフーの「リアルタイム検索」というソーシャルメディア検索機能を使って、FacebookやTwitter上の口コミを調べられるのです。調べ方は簡単。ヤフーの検索窓に「自社や自社商品を示すキーワード」を入力し、その検索窓の右上部にある「リアルタイム」をクリックするだけ。指定のキーワードを含むFacebookやTwitterの投稿を過去30日分表示します。その中に自社の商品やサービスについて繰り返しほめてくれる人がいれば、その人がアンバサダーとなる可能性があります。スマートフォン向けの専用アプリも提供されていて、検索キーワードを10個まで登録でき、そのキーワードを含むソーシャルメディアの投稿をほぼリアルタイムに把握できます。

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