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経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

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ケース14:取締役なら、テキトーにクビを切ってもノープロブレム!?

弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

今回の悩める経営者:株式会社ススキノ探偵事務所 代表取締役社長 大泉おおいずみ じゅう(42歳)
相談内容

 本日は、一つお伺いしたいところがあり参りました。とはいいましても、大したことはありません。

 使えない取締役で、大歯多慶良(おおは・たけら)っていう奴がいたんですが、クビを切ってやったんです。

 もちろん、会社法とかその辺のややこしい手続きは完璧にやってますよ。といっても、実際は、地元の司法書士の先生にやってもらって、問題ない、と太鼓判押してもらってます。

 いえね、さすがに、私も"どっきりカメラ"とか"進む!電波少年"、って古いか、こんな、予告なしの抜き打ちでドカン!ってやったわけじゃないですよ。

 この大歯には、一応、「辞任、どうでしょう?」って感じで、ソフトランディングで辞任の選択肢も考えてやったんですが、そもそも、言葉も通じなければ、話も通じない。「お前、しくじって、ドジばっかりやってるから、自分が使えねえ、ってこと自覚あるよね? あるよね? そうそう、ならいいさ。でさ、取締役ってのは、いつでもクビにできるわけ。わかる? 労働者とかじゃなくて、経営のプロだから。わかるよね? で、お前、使えねえんだわ。だから、すぐにでも解任、クビにできるんだけど、そしたらさ、次行くところに履歴書出すときとか、カッコ悪いじゃん。わかる? だからさ、自主的にやめてくれんだったら、ちょっと見舞金程度やるけど、どうする? え? 辞めない? がんばる? クビでもいい? ってお前、人の話聞いてんの!」ってな具合で。ま、だから、デキナイって評価になるんですが。とにかく、全然ダメですわ。

 で、もう、やむなし。クビ。解任決定ですよ。司法書士の先生も、「会社法では、出来損ないの役員は、いつでも解任できますから、チャチャっとやっちゃいましょう!」ってノリで、登記とかスグ完了。

 で、もう終わったと思って、バーで一杯やってたら、誰に知恵つけられたのか、大歯の野郎、内容証明とかを会社宛に出してきやがった。

 見てみたら、退職金とか損害賠償云々とかわけのわからないこと書いてあって、要するに、「一方的にクビにしたんだから、カネを払え」ってことなんですよ。ったく、会社の仕事ロクにできねえくせに、どんだけ根性入れて、文書書いてんだっ!っつーの!

 さすがにちょっと怖くなって、司法書士の先生に聞いたら、「こんなの無視、無視。だって、出来損ないで解任でしょ。ほっときゃいいですよ」って感じなんです。

 でもね、とはいえ、やっぱ、モノホンのスジキン入ったプロの弁護士の先生からもお墨付きもらっとかないと、不安なんで、友だちに紹介されて来た、ってわけですよ。

 一応、先生にそんな支払義務なんかない、ということを論理的にご説明いただいて、それを相手方にも説明すりゃ、ギブアップするかな、と思いましてね。

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