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サステナブルな経済社会の実現に向けた「三位一体の原則」

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ESG投資の時代がやって来る~サステナブル化に向けた金融の地殻変動

大和総研 調査本部 主席研究員 河口 真理子氏

GPIFによるPRI署名

 今回の原稿を書く少し前、タイムリーにESG投資が注目される"事件"がおきた。9月28日に公表された年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国連責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)への署名である(※1)。

 あいにく発表直後は、29日の日経平均株価1万7000円割れを含めて世界的な株安もあり、日本ではそれほど大きなニュースにならなかったが、このことは実は安倍首相によって世界中に報告されていたのである。首相は9月27日、ニューヨークにおける国連サミットのスピーチの中で、貧困撲滅や気候変動問題への積極的関与とともに、GPIFがPRIに署名し、そしてそれが持続可能な開発の実現に貢献する、と表明したのである(※2)。海外からの期待は当初から大きく、国内でもその影響がじわじわと広がってくるのを感じている。

 PRIとは2006年に国連の主導で発足したESG投資の世界的なプラットフォームのことで、2015年10月21日現在で1408機関が署名している。署名できるのは、GPIFをはじめとした年金基金などの資産所有者(294機関)、その運用を手掛ける運用機関(922機関)と、サービス提供機関(192機関)である。それぞれの署名機関は投資プロセスにおいて、財務情報に加えて、環境(E)、社会(S)、コーポレート・ガバナンス(G)を考慮することなどが求められる。

 考慮とは具体的にどのようなことか? 基本的には投資する際に投資対象事業の環境配慮(自社の低炭素化、省エネ、省資源、リサイクル、水資源管理、再生可能エネルギー推進、化学物質管理、森林保全、水産資源保護、環境配慮型製品の製造販売など)や、社会的取り組み(職場のダイバーシティ推進、サプライチェーンにおける人権配慮、児童労働や強制労働の排除など)及びコーポレート・ガバナンスの仕組みなどを、投資する際の判断基準に組み込むこと、あるいは投資対象に対してそうした取り組みをするよう働きかけることなどを指す。投資対象は上場株式だけでなく、債券や不動産、未上場株などの資産投資も含まれる。

(※1)年金積立金管理運用独立行政法人 プレスリリース「国連責任投資原則への署名について」(平成27年9月28日)
http://www.gpif.go.jp/topics/2015/pdf/0928_signatory_UN_PRI.pdf

(※2)首相官邸「持続可能な開発のための2030アジェンダを採択する国連サミット 安倍総理大臣ステートメント」(平成27年9月27日)
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2015/0927statement.html

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