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茶産地育成、ひと粒1000円のイチゴ・・・「地域発」で成功する 企業のCSV最新事情

 地域の課題を解決し、地方を活性化し、かつビジネスとしての成功も収める──。そんな企業のCSV活動が広がっている。茶産地育成事業がCSV成功事例として高い評価を得ている伊藤園、「東北で最も成功したソーシャルビジネスのひとつ」と言われる宮城県山元町のGRAグループ、企業、行政、NPOをつないで東北地方の復興を支援している一般社団法人RCF。それぞれの活動にCSVの可能性を探るべく、「日経ソーシャルイニシアチブセミナー」(主催:日本経済新聞社デジタルビジネス局)が9月15日に開催された。

パネリスト:
 笹谷秀光氏(伊藤園 常務執行役員 CSR推進部長)
 岩佐大輝氏(GRAグループ 代表取締役CEO)
 藤沢 烈氏(一般社団法人RCF 代表理事)
モデレーター:藤沢 久美氏(シンクタンク・ソフィアバンク 代表)

◇         ◇         ◇

司会(藤沢) 今日は、パネリストの皆さんの地域における取り組みの中から、CSV(共有価値の創造;Creating Shared Value)の可能性を掘り下げていきたいと思います。はじめに、現在の活動についてそれぞれお話しいただきます。

これからの時代のキーワードは「協創力」

伊藤園 笹谷秀光氏 伊藤園 笹谷秀光氏
笹谷 私は、CSVの重要なキーワードの一つとして「協創力」という言葉を提唱しています。「協働して何かを創り出す力」ということです。社会課題は年々複雑化し、しかも相互に関係しています。その課題を産官学労金言、つまり産業界、行政、教育界、労働界、金融業界、そしてメディア(言論界)の協働によって解決していく。それが協創力です。その力が発揮される場が、今日のテーマである「地域」であると捉えています。

 では、企業はそこでどのような働きをしていくべきか。私は近江商人の「三方よし」、すなわち「自分よし、世間よし、相手よし」の考え方が一つのモデルになると考えています。「自分」、つまり自社が目指すのは持続可能な成長であり、「世間」、つまり社会にとって必要なのは明日につながる仕組みや環境です。また「相手」、つまりお客さまや取引先にとって必要なのは、明日につながる消費、生計、調達です。この3つがウィン・ウィン・ウィンの関係になること。それが企業のCSVの目標になるべきであろうと思います。この考え方は、社会的価値と経済的価値を同時に実現することがCSVであると述べたマイケル・ポーターの考え方とも一致しています。

 伊藤園がCSV活動の一環として2001年から取り組んでいる茶産地育成事業は、まさしくこの「三方よし」に当てはまります。契約栽培や新産地開拓を柱としたこの事業によって、「自分」、つまり伊藤園は、原料の安定調達、生産の低コスト化といった価値を得ることができます。一方、「世間」、つまり地域社会は、農業振興、雇用創出、耕作放棄地の減少といった価値が得られます。さらに「相手」、つまり生産者には、農業経営の安定化、生産コスト低減といった価値がもたらされます。そしてそこにはさまざまな「学び」が生まれ、産業集積にもつながります。ただし、この「三方よし」には、CSVに求められるある要素が欠けています。それが何かは、追ってお話ししたいと思います。

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