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中東の実相に迫る

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人口急増、日本企業の技術に期待大きく

日本エネルギー経済研究所 中東研究センター研究主幹 坂梨 祥氏

 中東の動揺が収まらない。残虐なテロを繰り返す過激派「イスラーム国」(IS)の勢力は一時より衰えたとはいえ、戦闘はなお続く。イランの核開発問題やイスラエルとパレスチナの争いも出口が見えない。一方、人口が増え、経済成長が期待されるこの地域は日本企業にとって有望な市場でもある。混沌とした中東の現状をどうとらえ、付き合っていけばよいか、連載で考えていく。

「石油後の時代」見据える

 中東というと日本では、とかく紛争やテロのことばかりが報じられ、その経済的・社会的側面が報道で取り上げられることは少ない。しかし日本は今日も、原油の8割および液化天然ガス(LNG)の3割を中東ペルシア湾地域から輸入しており、日本のエネルギー安定供給にとって、中東は最重要地域であり続けている。

 その中東地域では医療の浸透が乳幼児死亡率の低下をもたらし、その結果、人口が急増しつつあり、社会は大きな変容の途上にある。中東地域の中で最も安定的と言われてきたGCC諸国(ペルシア湾岸の産油国群、サウジアラビア・アラブ首長国連邦(UAE)・クウェート・カタール・バーレーン・オマーンの6カ国)にもこの傾向はあてはまり、これらの国々は「石油後の時代」、すなわち化石燃料枯渇後に多くの人口を抱える時代に備え、石油の富を活用した経済基盤の整備に注力している。

 GCC諸国と一口に言っても事情は国によって異なり、バーレーンやオマーンの石油・天然ガス資源は相対的に乏しい。それでも人口の増加傾向と、それに伴う電力需要・水使用量・食料消費量の増加は、各国に共通の課題となっている。人口増加の背景には、高出生率・乳児死亡率の低下に加え、外国からの労働人口の流入があるが、増加を続ける人口を支える社会インフラの整備が、いずれの国においても急務になっているのである(図1)。

図1 GCC諸国の人口の推移(単位:100万人) 出典:QNB(カタール・ナショナル・バンク) 出典:QNB(カタール・ナショナル・バンク)

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