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IoTへの大いなる期待、そして課題

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「工場のハッキング」は許さない、モノづくりIoTの攻防

三菱電機 情報技術総合研究所 中川路哲男氏、早川孝之氏、伊東輝顕氏

 工場内の制御機器やセンサーが逐次発するデータを高度活用するIoT(モノのインターネット)は、生産性と信頼性を高める「モノづくりの新たな競争軸」と期待されている。これはIoTによる「攻め」の側面である。

 その一方、海外ではハッカーがインターネット経由でクルマ(市販車)の制御機能を乗っ取ってみせたばかり。あらゆる設備・機器がネットワークにつながるIoTの世界でも、工場の生産ラインが乗っ取られる「ファクトリーハッキング」が起こらないとも限らない。これはIoTを「防衛」する側面である。三菱電機でIoTによるモノづくり革新の具現化に向けて研究を続ける情報技術総合研究所の中川路哲男所長ら3氏に、IoTによる攻めのモノづくり革新とハッキングの脅威への対抗策を聞いた。

――モノづくりがIoT(モノのインターネット)によってどう変わっていくと見ているのか教えてください。

<b>中川路哲男(なかかわじ てつお)氏<br>三菱電機 情報技術総合研究所 所長</b><br>1983年、東京大学工学系電気工学修士課程修了。三菱電機に入社以来、ネットワークやセキュリティーに関する研究開発に従事してきた。2012年にIT戦略室室長に就任。2015年から現職。

中川路哲男(なかかわじ てつお)氏
三菱電機 情報技術総合研究所 所長

1983年、東京大学工学系電気工学修士課程修了。三菱電機に入社以来、ネットワークやセキュリティーに関する研究開発に従事してきた。2012年にIT戦略室室長に就任。2015年から現職。

中川路 「チョコ停(ちょっとした停止)」も生じない信頼性や生産性が高い生産ラインを、いかに素早く新設あるいは増設して稼働させるか。製品ライフサイクルが短期化するにつれ、工場では今、そうしたことの重要度がどんどん高まっていています。

 その点で、各種の制御機器やセンサーが発する多様なデータを活用していくIoTは、モノづくり企業にとって極めて重要な競争軸の1つになっていくに違いないと考えています。

 最初のうちは、設備・機器の状態監視や生産実績の管理のように状況を従来よりも精緻に可視化する、といった用途を中心にIoTの活用が広がるのかもしれません。しかし、あらゆる設備・機器にソフトが組み込まれ通信機能を持つようになることで、IoTはいずれ、モノづくりに新たなインテリジェンスを付加していくと見ています。

――ファクトリーオートメーション(FA)の一環で、工場内の設備・機器は今も賢く稼働しています。それでもまだ物足りない面がある?

早川 これまでのFAが物足りないわけではありません。工場内で色々なデータが取れるようになってきたので、それらをもっと活用しようという機運が高まっているのではないでしょうか。たとえば映像のデータ。最近は工場内のいたるところにカメラが設置されていて、人に代わって現場の状況を監視しています。その映像データから現場の異常を自動的に検知し、すぐに対策を講じるといったことが可能になります。

 FAは主に工場内の生産ラインを制御する目的で浸透し、設備・機器の制御を自動化することで生産性を高めてきました。一方、IoTの対象はもっと広範にわたります。基幹系システムで立案した生産計画をもとに工場に生産指示を出す、生産ラインで計画通りに製品がつくられているかを把握する、といったことはもちろん、サプライチェーンの最適化を含めモノづくり全体の進化を想定しています。

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