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サステナブルな経済社会の実現に向けた「三位一体の原則」

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果たして私たちは"持続可能"なのか?

大和総研 調査本部 主席研究員 河口 真理子氏

サステナブルな社会とは?

 ここ数年用いられることが増えているサステナブル(sustainable)という言葉は、「持続可能」な状態を意味する。最近の国際経済情勢をみても、ギリシャの問題や、人民元切り下げに示される中国経済への懸念など、世界経済の持続性を脅かす可能性のある出来事が相次いでいる。日本国内に限っても、高齢化の進展と、増加の一途をたどる社会保障費や巨額の財政赤字など、経済の長期的安定性を損ねる深刻な課題が存在する。

 しかし、今最も目を向けなければいけないのは、私たち人類の生存基盤そのものが直面する危機的な状況である。本稿ではこれから5回にわたり、持続不可能な社会状況とそれを持続可能につくりかえるために今、同時に起きている3つの潮流~「CSR(企業の社会的責任)/CSV(社会問題の解決と企業の利益を同時に実現していく経営モデル)」「ESG投資(環境・社会・企業統治への取り組みが優れた企業に投資する手法)」「エシカル消費(環境や社会に配慮した製品やサービスを選ぶ消費活動)」~について紹介するとともに、22世紀に向けた持続可能な社会のあり方について考えてみたい。

 そもそも、経済的な繁栄とは、命の危険を感じることなく安心して暮らし、仕事ができる3つの環境(家庭環境、社会環境、自然環境)が整い、そこで、水や資源やエネルギーが問題なく使え、好きなところに簡単に移動できる前提がなければ成立しない。しかし、その前提が2つの局面から今崩れつつある。すなわち、

(1)人類生存の基盤である地球環境が揺らいでいる。地球温暖化によるゲリラ豪雨や猛暑などの異常気象の多発、水産資源・森林資源などの枯渇や生物多様性の喪失、水資源不足、鉱物資源の減少、化学物質による水質や大気の汚染が、人類の生存環境を脅かしている。
(2)グローバル社会でもローカルな地域社会でも、格差の拡大が進展しており、人々の不満感や怒りを醸成。治安の悪化やテロの温床ともなり、社会の安定性をそこねている。

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