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ブラジル 飛躍への再挑戦

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個性豊かな5地域の潜在成長力に注目

神戸大学 経済経営研究所 教授 浜口 伸明氏

 南米の大国、ブラジルがもがいている。2014年の国内総生産(GDP)は0.1%の伸びにとどまり、2015年はマイナス成長が予想される。豊富な資源と多様な人材を有し、「21世紀の大国」といわれてきたブラジルは、再び飛躍できるのか。ブラジルをはじめ、ラテンアメリカ経済を長年研究してきた神戸大学経済経営研究所の浜口伸明教授に、復活への条件を連載で論じていただく。

政治と経済が足を引っ張り合う

 ブラジルでは政治と経済が互いに足を引っ張り合っている状況だ。国営企業ペトロブラスの利権に絡む汚職事件ですでに大企業幹部、仲介ブローカー、元官房長官が逮捕され、与党の現役有力政治家にも捜査が及んでいる。

 国民の政治不信の不満の矛先が向けられたルセフ大統領の不支持率は71%に跳ね上がり、支持率はわずか8%に沈んだ(8月6日発表Datafolha社調査)。この不支持率は1992年に自らの汚職問題で国会の弾劾決議を受けたコロル元大統領の辞職直前のそれさえ上回っており、ルセフ大統領は1985年に軍事政権から文民政権に移行して以来もっとも不人気な大統領の汚名を着せられている。

 現政権はルセフ大統領の出身母体である労働者党と上下両院の議長ポストを牛耳る民主運動党を中心とする多党連立で支えられているが、ここに来て民主運動党が国民の信頼を失った政権への協力を拒む局面が増えている。国会では財政再建のための重要法案が目白押しであるにもかかわらず、連立与党の中核を成す両党の亀裂が深まっている状況は経済の見通しをいっそう不透明にしている。

 そのような折、格付け機関スタンダード&プアーズは7月末にブラジルの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に見直したのち、8月に投資適格級としては最低となるBaa3に引き下げ、政治的混乱が財政再建を妨げるようであれば投資適格格付を失うことになる、と警告を発した。

 労働者党政権は、2005年に別の汚職問題(メンサロン事件)が明らかになって、ルーラ大統領(当時)の不支持率が支持率を上回ったことがあった。しかし、このときは好調な経済に救われた。一次産品ブームに乗ったブラジル経済は2007年6%、2008年5%と高い成長率が続き、2009年は国際金融危機の影響を受けてマイナス成長になったものの、2010年に7.6%のV字回復を実現したのであった。ルーラ前大統領は、2010年に83%の驚異的な支持率で任期を満了した。

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