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2020年の「勝ち組」自動車メーカー

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トヨタの競争力に必要な「新設計プロセス」

ナカニシ自動車産業リサーチ 中西孝樹 氏

 2015年5月、トヨタ自動車の最高益決算の記者会見の壇上に上がった社長の豊田章男は、「意志ある踊り場」から「実践をする場」に来たとステージの変化を述べた。持続的成長を支える真の競争力が何であるかを考え続けてきたトヨタの具体的な回答だけに、その内容と方向性を正しく理解をすることは非常に重要だ。

 リーマンショック、品質問題、東日本大震災という3つの大きな危機を経験したトヨタは、持続的な成長を遂げるには様々な競争力を磨いていく必要があると考えた。そこで、3年間、新工場建設を封じ込め、トヨタの競争力に何が必要であるかを考え抜いてきたのだ。その具体的な方向性には、「新設計プロセス」「新製造プロセス」「人づくり」という3つのポイントがある。

 新設計プロセスの中では、「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ(TNGA)」という概念が重要な意味を持つ。この概念は、簡単にいえば新しい設計プロセスに立ったプラットホームやエンジンを導入し、クルマの魅力を最大化できる製品を良品廉価で提供していくということだ。

 トヨタの世界生産の65%を占めるB(「ヴィッツ」クラス)、C(「カローラ」クラス)、D(「カムリ」クラス)の3つのFFプラットホームが2020年までにTNGA化される方向だ。まずは2015年末の「プリウス」でCプラットホームが頭出しされ、2016年に「C-HRコンセプト」の小型クロスオーバーSUVが派生する。2017年初めにはDプラットホームの「カムリ」へと続いていく見通しだ。

<b>トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャの概念</b><br>出所:会社資料をもとにナカニシ自動車産業リサーチ加筆 トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャの概念
出所:会社資料をもとにナカニシ自動車産業リサーチ加筆

 しかし、こういった設計プロセスの進化は、これまでに述べた通り、トヨタは後追いなのである。世界の自動車業界は、2000年代後半からクルマの設計プロセスを大きく変化させてきている。まずは、なぜ、現在の自動車産業がこのような要素の進化を必要としているかを整理していこう。

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