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IoTへの大いなる期待、そして課題

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「乾いた雑巾」でも、IoTでまだ絞れる

アイ・ティ・アール プリンシパル・アナリスト 甲元宏明 氏

 コスト削減や品質向上などの様々な改善活動の中には、「もう、これ以上の改善は難しい」と半ば諦めかけているものもあるだろう。しかし、それは単に現状を詳しく把握できていないからなのかもしれない。多様なセンサーからの計測データをもとにビジネスの現況を克明にあぶり出すIoT(モノのインターネット)なら、「乾いた雑巾」と思い込んでいた課題でも、「まだ濡れていた」と気づかせてくれる。

 IoTは新しい動きだと思われがちだが、実は国内企業の25%がすでに何らかの形でIoTを取り入れている。しかも、特に積極的なのは伝統的な製造業や流通業という。企業のIT活用に詳しいアイ・ティ・アール(ITR)のプリンシパル・アナリスト甲元宏明氏に、国内企業のIoTの取り組み状況と、成果を阻む最大の障壁について聞いた。

――最近のIoT(モノのインターネット)の盛り上がりをどう見ていますか。IoTも一時的な流行のバズワードで終わるのでしょうか。

<b>甲元宏明 氏<br>アイ・ティ・アール<br>プリンシパル・アナリスト</b><br>三菱マテリアルにおいて、モデリング/アジャイル開発によるサプライチェーン改革や、CRM/eコマースなどのシステム開発、ネットワーク再構築、グループ全体のIT戦略立案を主導。欧州企業との合弁事業ではグローバルIT責任者として欧州と北米、アジアのITを統括し、IT戦略立案やERP展開を実施。2007年より現職。現在は、クラウドコンピューティングやネットワーク、ITアーキテクチャー、開発言語/方法論、オープンソースソフトなどを担当し、ソリューション選定や再構築、導入などのプロジェクトを数多く手がける。ユーザー企業のITアーキテクチャー設計や、ITベンダーの事業戦略などのコンサルティングの実績も豊富

甲元宏明 氏
アイ・ティ・アール
プリンシパル・アナリスト

三菱マテリアルにおいて、モデリング/アジャイル開発によるサプライチェーン改革や、CRM/eコマースなどのシステム開発、ネットワーク再構築、グループ全体のIT戦略立案を主導。欧州企業との合弁事業ではグローバルIT責任者として欧州と北米、アジアのITを統括し、IT戦略立案やERP展開を実施。2007年より現職。現在は、クラウドコンピューティングやネットワーク、ITアーキテクチャー、開発言語/方法論、オープンソースソフトなどを担当し、ソリューション選定や再構築、導入などのプロジェクトを数多く手がける。ユーザー企業のITアーキテクチャー設計や、ITベンダーの事業戦略などのコンサルティングの実績も豊富

 「モノのインターネットなんて、表現がダサい」という声も聞かれますが(笑)、多くの企業が期待感を持っていることは確かです。IoTは、もはや単なるはやり言葉やコンセプトの類だと考えるべきではありません。実体を伴った動きに発展していると正しく認識する必要があります。

 ITRが国内企業を対象に実施した調査によると、企業規模に関係なく、すでに約4分の1の企業が何らかの形でIoTをビジネスに取り入れています。そのうちの半数は、試行や検証のステージではなく、実際に事業で使い始めています。非IT企業のほとんどが当初は認識すらしていなかった「クラウド」のようなキーワードとは、明らかに違うトレンドなのです。

 特にIoTに積極的なのが、伝統的な製造業や流通業です。国内企業の場合、自社の取り組みを広く公開するところが少ないのですが、昔から工場や物流センターなどでデータを広範に収集しながらビジネスを強化してきた企業が、モノづくりの一層の強化やサプライチェーンのさらなる効率化を可能にするプラットフォームとして、IoTに期待を寄せています。

 企業がIoTを取り入れる目的は大きく2つあります。1つは、今までにない、まったく新しいビジネスをつくり出すこと。もう1つは、今のビジネスを強化することです。先の調査結果を見ると、イノベーションを起こす狙いでIoTをビジネスに取り入れている企業はわずか1割程度。ほとんどの企業はコスト削減や品質改善、顧客満足度の向上など、現行ビジネスの強化を図ろうとしています。

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