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「人生最初の1000日」の栄養状態改善へ 多様なソーシャルセクターと連携

味の素のガーナ栄養改善プロジェクト

 「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」第3回の大賞は、「ガーナ栄養改善プロジェクト」に取り組む味の素、公益財団法人ケア・インターナショナル ジャパン、公益財団法人プラン・ジャパンの3団体が受賞した。

 ガーナ(正式名称:ガーナ共和国)政府や、経験豊富な非政府組織(NGO)、国際機関などと連携し、味の素が乳幼児の栄養不足改善のためのサプリメントを生産・販売する「ガーナ栄養改善プロジェクト」は、いかにして実現したのか。世界中から注目されている今回のプロジェクトの意義は、どこにあるのか。2人のキーマンに話を聞いた。

貧困地域の子供の未来を左右する「最初の1000日の栄養」

 発展途上国において栄養失調は、今なお深刻な問題で、乳幼児死亡率を高める最大の原因となっている。特に、妊娠から子供が2歳になるまでの1000日間が重要で、その時期の栄養不足によって引き起こされた成長不良は、その後の期間に取り戻すことは難しいというのが、共通認識になりつつある。

 この課題解決に向けた取り組みとして世界から注目されているのが、「ガーナ栄養改善プロジェクト」だ。

 ガーナは、乳幼児の栄養不足が深刻なサハラ砂漠以南の西アフリカの国々の中でも比較的、政情が安定し、大学や保健システムも整備されているなど、ソーシャルビジネスの足がかりを築く場として適している。一方で、保健行政の執行機関であるガーナ・ヘルスサービス(GHS)によると、月齢24カ月の低身長児の割合は4割近くに達している。この時期の栄養不足は、免疫機能や知能の発達、将来の慢性疾患に影響を与えるとも言われ、貧困の連鎖を断ち切れない原因の1つとみられている。

 ガーナでは、コーンを乳酸発酵させた餅状のものをお粥に仕立てた「KoKo」が朝の主食となっており、離乳食として乳幼児にも与えられる。しかし、炭水化物中心のKoKoだけでは、離乳期の成長に必要なたんぱく・アミノ酸やビタミン、ミネラルが不足する。そこで、味の素はアミノ酸に関するノウハウを生かし、ガーナ大学、米国の研究NPO「INF(International Nutrition Foundation)」と共同で、離乳期の子供向けのサプリメント「KOKO Plus」を開発。栄養教育などを通じ、母親に必要性を認識してもらったうえで、子供のために購入してもらう「市場メカニズムに基づく持続可能なソーシャルビジネス」として広げていこうとしている。

「KOKO Plus」をガーナの伝統的な離乳食「KoKo」に加えることで、栄養バランスが飛躍的に改善する。 「KOKO Plus」をガーナの伝統的な離乳食「KoKo」に加えることで、栄養バランスが飛躍的に改善する。

 「KOKO Plus」には、栄養強化食品としてどんな特徴があるのだろうか。

 先進国では、肉やミルクなど、良質の動物性たんぱく質をとるが、途上国では、コーンや小麦粉、お米など、たんぱく源を穀物に頼り、動物性たんぱく質の摂取が極めて少ない。「もっと肉を食べましょう」といっても、経済的に無理な場合が多い。

 そこで活躍するのが「KOKO Plus」に含まれる必須アミノ酸「リジン」だ。

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