日本経済新聞 関連サイト

藤元健太郎の「CMO戦略企画室」

記事一覧

静かに広まる「人工知能」、新段階の自動化と商機に期待

D4DR 藤元健太郎氏

 映画「2001年宇宙の旅」(1968年公開)で登場した架空の人工知能コンピューターHAL9000は、矛盾する命令を抱えていたために思考回路が混乱してしまったが、それは人間のようでもあり、非常に賢いコンピューターだった。

 現実のテクノロジーはこの映画のようには進化しなかったが、2001年に遅れること十数年、人工知能の足音がビジネスの世界にひたひたと近づいている。それは「新段階の自動化」と「新しい商機」の到来を意味している。過度の期待は禁物だが、見過ごせる話でもない。

"学習"するコンピューター、人間のような判断を可能に

 この2月、ソフトバンクはスマートフォンの新製品発表会で、米IBMが開発した人工知能「Watson(ワトソン)」(※)を組み合わせたスマホ向けアプリを提供すると発表した。人工知能を使ってどんなアプリに仕上げてくるのかは今後のお楽しみだが、一般の人がスーパーコンピューターを駆使した最先端の人工知能をより身近に使えるようになる点は興味深い。

(※)自然言語を解釈する認知型コンピューター。米国のクイズ番組で、人間を相手に勝利したことがある。質問に対して、複数の回答候補から最も適切と評価したものを回答する。自己学習機能を備える。

 ソフトバンクは現在、感情認識ロボット「Pepper(ペッパー)」のビジネスにも力を入れていて、そこにもWatsonの活用が期待される。たとえばPepperが一流レストランでソムリエとして働き、ウィットに富んだ会話の中から来店客に最適なワインをお勧めしてくれる――。そんな日が来るのも案外近いかもしれない。

 Watsonは、すでにいくつかの銀行のコールセンターに導入され、"学習"が進められている。自然言語を理解し、自己学習機能を備えるWatsonは、FAQにない複雑な問い合わせであっても、数多く学習させることでベテランオペレーターのように対応策を選択表示することが可能になるという。オペレーターが初心者でも、Watsonが回答例をリアルタイムに表示してくれれば、複雑な問い合わせにも迅速に回答できるようになる。

 いずれ融資業務でWatsonを活用することを検討している銀行もある。「この企業に融資してよいか」という判定をWatsonが行うことになれば、これまで銀行業務で一番経験や能力が重視されてきたともいえる融資業務をコンピューターが担う時代になる。人間の銀行員の役割がこれからどう変化していくのか、気になるところだ。

この記事は会員限定コンテンツです。
続きを読むには、日経BizGateに会員登録(無料)してください。

最初に日経IDを取得し、その後日経BizGateに利用登録します。
おすすめ記事やキャンペーンをお知らせするメールマガジンもご利用ください。

すでに登録済みの方はログインしてください。

今すぐ登録 ログイン

PICKUP[PR]