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ケアシフト!シルバーイノベーション最前線

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サービスの「卓越」と「凡庸」を分かつもの

松下博宣氏

 日本のサービス産業はGDPの7割程度を占め、今後も産業のサービス化が進む。その中には、本連載で論じてきたケアサービスも含まれる。

 ところで、サービスの品質を左右する要因とは一体何だろうか。サービスの種類によって異なる部分はあるだろうが、今回はケアサービスの代表である看護職を1つの切り口として、サービスの品質を決定付ける「スキル」について考えてみたい。このスキルは、保健・医療・福祉サービスに限らず、サービス産業全般や地域コミュニティーにも求められている普遍的なものと考えている。

「ケアスキル不足」をもっと議論すべき

 保健・医療・福祉サービスの最前線で働く看護職(※)は、患者や高齢者、弱い立場にいる生活者たちに看護サービスを提供する大切な役割を担っているが、人手不足が続いている。

(※)看護師、准看護師、保健師、助産師の総称

 厚生労働省によると、2011年に全国で約150万人就労していた看護職を、2025年までに50万人増やし、計200万人に増やしたいとしている。そのため、厚労省の政策も保健・医療・福祉サービスの現場も、看護職の量的側面、つまり頭数の増員に熱心だ。大学における看護学部の新設ラッシュも、その延長線上にある。

 しかし、肝心の良い看護サービスを実現する看護職自身の「質」については、さほど関心が向けられてこなかった。看護サービスの品質に直結する重要な問題であるにもかかわらず、である。

 良質な看護サービスは、ただ単に看護職の頭数をそろえるだけでは実現しない。頭数を増やすことはもちろん非常に重要だが、十分なケアスキルを持つ「中身のともなった看護職」の存在こそが看護サービスの質を高めていく。そこにも大きな関心を払うべきだ。

ケアサービスの「プロ中のプロ」は何が違うのか

 そこで筆者らは、ある大規模病院を研究対象として、ダントツに仕事ができる看護職のケアスキルを調査するプロジェクトを立ち上げた。具体的には、(1)看護サービスの質、(2)イノベーションへの寄与度、(3)医療チーム、病棟、コミュニティーへの関与の度合いに関連する60項目を用いて、総合的に人事考課歴などをトラッキングし、上位1.5%にあたる20人を選抜した。さらに対照群として、平均的な能力の看護師を無作為に20人抽出し、両者を比較した。

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