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【特別インタビュー】非財務情報開示の最先端、欧州では今何が起きているのか?

レスポンスアビリティ代表 足立直樹氏

 最近、「非財務情報の開示」や「統合報告」、「ESG( 環境・社会・ガバナンス)」という言葉をよく聞くようになったと思われないだろうか。実はこれらはいずれも、「自然資本」とも非常に関係が深く、こうした概念の発展とともに、自然資本への注目もさらに高まりつつあるのだ。

 これらの言葉はいずれも欧州発だが、欧州ではいったい今、何が起きているのだろうか。そして、こうした動きは、日本企業にどのような影響を与えるのだろうか。

 日本国内でも既に昨年(2014年)、「日本版スチュワードシップ・コード」(機関投資家の行動規範)が制定され、今年6月には「コーポレートガバナンス・コード」(企業統治指針)が導入される。しかし、これが欧州で進む非財務情報の開示とどうつながっているのか、明確に説明できる方は少ないのではないだろうか。そもそもスチュワードシップ・コードも、コーポレートガバナンス・コードも、いずれも英国から持ち込まれた考え方であり、日本で自然に形づくられたものではない。また、その導入もやや性急なものであったきらいがある。

 スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードに形式的にではなく、本質的かつ適切に対応するためには、やはりこうした制度を先行して取り入れている国に、その背景となる考えを学ぶのが早いだろう。そこで、非財務情報の開示や統合報告に大きく関与している英Trucost社のシニア・アカウント・マネージャーであるトム・バーネット氏に、非財務情報開示の最先端を行く欧州の動きやその狙いについて、お話を伺った。

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<b>トム・バーネット(Tom Barnett)氏</b>

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2010年よりTrucost社にて、英国政府および多くのグローバル企業のプロジェクトをコーディネート。Trucost社はロンドンに本拠を置き、世界各国から集めたデータを基に世界の主要な4000以上の企業の環境負荷を分析するこの分野での世界的なリーディング企業で、これまでに世界数十社の自然資本会計を手がけてきた。現在は自然資本連合のプロジェクトに加わり、自然資本会計の世界標準の作成にも深く関わっている。 トム・バーネット(Tom Barnett)氏
2010年よりTrucost社にて、英国政府および多くのグローバル企業のプロジェクトをコーディネート。Trucost社はロンドンに本拠を置き、世界各国から集めたデータを基に世界の主要な4000以上の企業の環境負荷を分析するこの分野での世界的なリーディング企業で、これまでに世界数十社の自然資本会計を手がけてきた。現在は自然資本連合のプロジェクトに加わり、自然資本会計の世界標準の作成にも深く関わっている。
足立 まず、英国においてこうした考え方が企業経営に導入されるようになった経緯について、お話しいただけますか?

バーネット 企業のサステナビリティやCSRの歴史を振り返ってみると、英国を含め欧州では、伝統的なフィランソロピーの理念から、環境に配慮する発想が生まれたと考えられます。産業革命以降、特に20世紀以降の産業の発達によって、企業活動が地域社会や環境に大きな影響を与えるようになりました。そうした中で、企業は経済的な価値を生み出すだけでなく、社会の一部として役に立つべきであるという考え方が強くなってきました。企業は、株主だけではなく、より広いステークホルダーに対して、コミュニティーや自然環境への影響について責任を持つべきだということが意識されるようになってきたのです。

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