日本経済新聞 関連サイト

経営戦略パースペクティブ

記事一覧

90年代以降、なぜ優秀な経営人材が育っていないのか

XEED 波頭亮氏

 前回の『新・日本型経営に向け、変えるものと変えないもの』の最後に、新・日本型経営を実現するためには、経営を担う人材の育成が必須の条件であることを提起した。実際、日本企業が精彩を欠くようになった1990年代以降、「優秀な経営人材が育っていない」という声が多くの企業で聞かれる。経営学者やコンサルタントからも、そうした指摘の声が少なくない。

 90年代以降、次々に起きる大きな環境変化に対応して経営を大転換しなければならなかったり、メガコンペティションを勝ち抜かなければならなかったり、既存事業の成熟に対応してイノベーションや新規事業の創出をしなければならなかったりと、経営者に求められる経営戦略テーマが目白押しである。それなのに日本企業は、優秀な経営人材が育っていないがために、二の足を踏んでいるかのようだ。

 もちろん企業としても、優秀な経営人材の育成が未来を開くための最重要テーマであることを十分に認識しており、多くの企業で経営人材育成プログラムを実施している。だが、満足のいく十分な成果が出ていないようである。

経営人材を育成する「真の投資」をしているか?

 では、「優秀な経営者を育成しなければならない」という意図に基づいて経営人材育成プログラムが盛んに行われているのにもかかわらず、なぜ優秀な経営人材が育っていないのか。理由を3点指摘しておきたい。

 第1の理由として、90年代以降の企業経営において、経営者に求められる資質や能力がそれまでと比べて格段に高度化した点が挙げられる。かつての日本的経営において、多くの企業における「経営者の仕事」は、高度経済成長を背景に、従来のやり方を改善・拡大することだった。そして日本的経営の核心を成していた「組織の調和的運営」が主たるものであった。従来の事業展開の改善と組織の調和が本分であれば、大きな戦略的リスクを取る必要がなく、「彼がトップなら社内は収まる」という存在であればよかったのである。したがって、年功序列の階段を着実に上ってきた者が順当人事としてトップに選ばれることが多かったし、それでうまくいっていた。

 しかし90年代以降の経営トップに求められる役割は、経営戦略の転換、大胆な風土改革、グローバル化やイノベーションの積極的な推進と、改善と調和とは全く逆に、リスクテイクとチャレンジが求められるテーマばかりである。しかも、事業環境の変化は激しく、競争条件は厳しい。

 そうした条件の下で優秀な経営者であるためには、高度な経営知識や戦略理論はもちろん、チャレンジングなテーマに果敢に挑戦するための胆力、そして全社を巻き込んで戦略を強力に推進していくためのリーダーシップと、まさに全人格的に傑出した資質や能力が求められるのである。

この記事は会員限定コンテンツです。
続きを読むには、日経BizGateに会員登録(無料)してください。

最初に日経IDを取得し、その後日経BizGateに利用登録します。
おすすめ記事やキャンペーンをお知らせするメールマガジンもご利用ください。

すでに登録済みの方はログインしてください。

今すぐ登録 ログイン

PICKUP[PR]