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経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

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ケース8:行政処分ごときにビビるな!

弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

今回の悩める経営者:株式会社サマーリゾット 代表取締役社長 美村ミムラ 夏和サマカズ(47歳)
相談内容

 先生、この間顧問になっていただいたばかりで、ちょっと言い辛いのですが、、。今日は、法律以外のお力を借りることになってしまいました。

 ウチの看板商品で、「さまぁー鍋」というのがございまして。特殊加工したおかげで保温性がバツグンに良い鍋なんですよ。真夏のビーチリゾートの砂浜みたく、ずーっと熱いまんまだから、おいしいリゾットも簡単に作れちゃう。

 深夜番組で取り上げられてからは、ガンガン売れまくって、もう大変だったんですよ。作った分だけ売れるなんて、なかなか無いですからね。

 それが、、、。

 もうテレビとかインターネットとかでガンガン報道されてしまっていますけれど、その「さまぁー鍋」について、お上、消費者庁から、キッツイお灸を据えられてしまいました。

 お上から来た手紙がこれなんです、漢字ばっかりで読みにくいのですが、要は、

「株式会社サマーリゾットさん。お宅の『さまぁー鍋』ですけれども、お宅が広告している内容と、実際の効果が、かなり違うのではないですか? お宅の広告、かなりお話を盛っているのではないですか? このあいだ、お宅にチャンスを一度差し上げて、お宅の広告にちゃんと根拠があるのか、ウソが書かれていないか、資料を提出する機会をあげましたよね? あのとき送ってもらった広告、しーっかり内容を見させてもらいましたが、全然ダメダメでした。もう、バリバリのウソ広告じゃないですか。『真夏のビーチの砂浜みたいな鍋で、保温性が高い』とか、色々とデータを挙げてましたよね? だけど、普通にリゾットを炊いたら、アルデンテどころか、ナマゴメのまんま。前歯が欠けるかと思いましたよ!?」

「もう、お宅自身が広告の内容について、ちゃーんと根拠のある広告だってことを全然説明できなかったのですから、わかってますよね? さっさと全国の皆さんに対して、『ウチのさまぁー鍋については、実際のモノよりも話を盛って、保温効果がすごく高いとかっていう広告を出していました。これは法律に違反する行為でした』って、わびをいれてくださいね」

なんていう内容なんです。

 こんなお上からの手紙が、テレビでも新聞でもインターネットでも公表されたもんですから、お客様や小売店さんからのクレーム電話が鳴りっぱなしです。

 昔からのお客さんの中には、「ツレに勧めようかとも思ってましたけど、騙されてるのがわかったので、代わりに『あの会社は詐欺だから、ゼッタイ買っちゃダメだよ!』って言っておきますからね!」なんておっしゃる方もいて、もう、ホント悲しくなります。

 お客さんたちや小売店さんにいくら説明しても、「お宅んとこみたいな一民間企業がナニ言っても、信用なんかできないですよ。お上の意見が正しいに決まってるじゃないですか!」なんて言われて、信用なんて全くしてもらえません。

 さまぁー鍋の効果と、ウチの広告については、ちゃんと合理的、科学的な根拠があるんです。でも、また資料を作りなおして消費者庁に持って行っても遅いですよね? 今はもう小売店からは返品の嵐で、売り上げなんてほとんど無くなってしまいました。キャッシュもまわらず、もう限界です。

 もっと早く先生に顧問になってもらっていれば、まだ何か法律上の対応があったのかもしれないのですが。行政処分を受けてしまったら、もうオシマイですよね。

 知り合いが「まだ行政訴訟がある!」って教えてくれたのですけど、訴訟をやったって、日本中の皆さんからは、「お上から処分が出るなんて、やっぱりサギ会社でしょ! 会社自体も、お上の命令に従って、ウソ広告出してました、って詫びをいれてるじゃん。もう信用できねー」って言われますから、意味ないですよ。

 もう、ハラをくくります。最後に残った300万円がここにあります。これで、先生のツレの、エライ国会議員の先生にお願いをすれば、今回の行政処分を止めるなり、取り消すなり、してもらえないでしょうか!?

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